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楽天ドラ1・早川隆久はあえて自主トレで“頑張らなかった”…「しんどくなるよ」昨季セ新人王のアドバイス
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKYODO
posted2021/03/10 17:06
2月の楽天金武キャンプで。守備練習中に笑顔を見せる早川隆久
「何かの番組で、前田健太さんのルーティンの多さを知って。『俺もやったらいいピッチングができるかも』ってところから始まったんですけど、大学に入ってからはめっちゃ多くなってしまいました(笑)」
こと野球に関しては「すごい神経質」と話す。言葉だけを受け取れば「頑固」のような性質と紐づけられがちだが、実際の早川はむしろ、柔軟過ぎるほど柔らかい思考を持つ。
1月の自主トレで2回しか投げ込みしなかった理由
アップデート。
早川のプランニングは、このキーワードと同居している。
「自分がやってきたことが間違いであるのなら、計画を立てていく上で変えていく必要があると思っているので。新しいことにチャレンジする時は、まずは今までやってきた経験を踏まえて、『何が違うのか?』っていうことを確認しながら、その都度アップデートして。その繰り返しが大事かなって思います」
プロ入りに際するアップデートは、昨秋の東京六大学リーグ終了後から始まっていた。
ここからおよそ1カ月後の年明けには、新人合同自主トレが始まる。プロの第一歩となれば、「体を仕上げたい」と躍起になって練習してしまいそうなものだが、早川はリーグ戦での疲れを癒すことに重きを置いたのだという。
この行動に移す根拠もあった。
「大学の疲れを残したままプロの練習に入ると、しんどくなるよ」
早川の楽天入団後、そうアドバイスを送ってくれたのは、昨年にセ・リーグ新人王に輝いた広島の森下暢仁だった。
説得力があった。明治大から1年先にプロ入りしたドラフト1位の先輩は、昨春のオープン戦で4試合に登板し防御率4.20。前評判とは程遠いパフォーマンスで出遅れた。その教訓あってこその助言が、早川に響いた。
1月の新人合同自主トレでは、仲間たちが積極的にブルペンに入ったなか、早川は2回しか投げ込みを行わなかった。春季キャンプ初日も、一軍メンバーのルーキーではただひとり、ブルペンを回避。狙いはこうだ。