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阿部勇樹39歳と柏木陽介33歳 不遇から一転リカルド新体制で輝くか…思い出す鈴木啓太の言葉【J1浦和キャンプ】
posted2021/02/03 11:03
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
URAWA REDS
これがベテランの妙味というものか――。当人たちには「何を大げさな」と一笑に付されるかもしれないが、そう感じたのは確かだ。
徳島ヴォルティスをJ1に導いた知将、リカルド・ロドリゲス監督を招聘した浦和レッズの沖縄キャンプ。2月1日に行われた水戸ホーリーホックとの45分×3本の変則マッチで阿部勇樹がピッチに入ると、チームの雰囲気がピリッと引き締まり、ボールがよく回るようになった。
最終ラインで配球役、中盤ではボール回収
最終ラインで配球役を担ったかと思えば、中盤で相手に激しく寄せてボールを回収する。同じく途中から出場した槙野智章とともに、コーチングの声も響かせた。
「後ろからしっかり繋いで攻撃を組み立て、主導権を握ってゲームを進めたいんだ」
そう語るスペイン人指揮官のスタイルにおいて、数的優位の築き方やボールの動かし方を熟知するMFやDFの存在は不可欠と言える。「システムは重要ではない。相手や状況によって自在に変えられるようにしたい」と、4バックと3バックの併用や試合中の可変性も掲げているのだから、繋ぐ技術とサッカーIQの高い選手は、なおさら欠かせない。
徳島で言えば、岩尾憲や内田航平にあたる戦術上のキーマン――。ここまでボランチとセンターバックの両方で起用されている阿部は、そんな存在に見える。
同ポジションの若手にとって“最高の教材”
なかでも唸らされたのが、その立ち位置だ。試合の流れに応じて中盤と最終ラインを行き来し、ときにあえてスペースを空け、味方がプレーしやすくする。そうした振る舞いは、ボランチの金子大毅や伊藤敦樹、DFの藤原優大や福島竜也といった同じポジションの若手にとって、“最高の教材”となるものだろう。
一方、1本目から出場した柏木陽介も、存在感を示したひとりだ。