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名将ロティーナ就任と大型補強で「清水は何が変わったのか?」 昨季16位でも期待せずにはいられないワケ
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/02/27 06:01
昨季もリーグ最終16位と、ここ何年も下位に低迷しているJ1清水エスパルス
ゴール前での安定感のあるプレーはもちろん、「試合中のコーチングが的確だし、リーダーシップもある」とクラブ幹部は絶賛する。OB解説者も「昨季までの川崎なら中村憲剛、磐田の遠藤保仁のような選手が清水にはいなかった。その役割を権田が担ってくれれば」と、チームのけん引役として期待を寄せている。加入したばかりだが、今季の新キャプテンの一人に指名され、早くもリーダーとしての存在感を見せ始めている。
「自分はシュートを止めるのが仕事だけど、周囲と連携して打たせない守備にこだわりたい」という宣言通り、開幕前のJ2磐田などとの練習試合では、3試合に出場し無失点。後方からのコーチングでしっかりと連携し、狙い通りに少ない被シュートに抑え、守護神としての存在感を見せつけた。
チームの守護神であり精神的支柱が日本代表であることも、チームには好影響を与えてくれそうだ。清水で日本代表に定着した選手は、2010年まで在籍したFW岡崎慎司(スペイン1部・ウエスカ)以来。若手からは「代表選手と一緒にやれることが自信になるし、(権田の存在で)チームが注目されることが高いモチベーションになる」という声も聞こえる。
積極補強も「満足かというと100%ではない」
大型補強は選手たちのポジション争いも加速させている。例えばDF陣には、J1大分でキャプテンだったセンターバックの鈴木義宜が加わり、五輪代表を狙う立田悠悟、ブラジル人のヴァウドとの競争が始まった。J1鳥栖から加入した右サイドバックの五輪代表候補、原輝綺はエウシーニョとの争いになるだろう。
そして昨年までは安泰だったポジションにも、動きが見える。
3年前に2桁ゴールでチームに貢献した右MF金子翔太のポジションには、横浜FCから加入した中山克広らが参戦。「練習試合でも出場機会を得たら、とにかく結果を出さないと出番がなくなるかもしれない」と危機感を口にした金子は、アピールのためにもより積極的に得点に絡んでいくだろう。