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堂安律に攻撃を“依存”するビーレフェルトに「危険な男」奥川雅也が加入 1部残留のカギは2人の日本人が握る
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/02/27 17:02
12年ぶりのブンデス挑戦となっているビーレフェルト。そのチームにおいて攻撃を司っているのが堂安律だ。また、今冬には奥川雅也も加入しており、2人の日本人選手はチームを残留に導く活躍を見せられるか
1部残留のカギは得点力
守備は改善されたし、勝ち点を稼げるようにもなった。だが、それだけでは残留確定に持ち込めていない。
ビーレフェルトはブンデスリーガ18チームで最もシュート数が少ないチームなのだ。前半戦を終えて13得点はリーグワースト。2点以上ゴールを決めた試合は前述のシュツットガルト戦を含め、たったの2試合しかなかった。
戦力補強は必須。だが、リーグ最少の人件費2500万ユーロのビーレフェルトは手当たり次第に移籍市場で動き回ることはできない。
堂安をはじめ、レンタル移籍をフル活用
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そんなクラブにとって、レンタル移籍は生命線とも言える。今夏も堂安律、セルヒオ・コルドバ(アウクスブルク)、アーネ・マイアー(ヘルタ・ベルリン)の3人をレンタルで獲得している。
経営的に無理をして大きなリスクを冒すことなく、ブンデスリーガで戦いきれるだけのクオリティを整える。昇格クラブにとってレンタル移籍は必要不可欠な手段だ。
レンタルでプレーする選手の数は、ウニオン・ベルリンに次いで2番目に多い。クラブの首脳陣は、レンタル移籍であれ、このクラブのために全力で戦おうとする気概を持った選手かどうかを見極めようとしている。
今冬には奥川も期限付き加入
今冬、奥川とオランダ人のMFミヒェル・フラプがビーレフェルトに加わった。
フラプはトップ下、奥川は両サイドでプレーできる選手だ。ベルギーのアンデルレヒトで出場機会を確保できず、レンタル移籍を決断したフラプの給与は、その大部分をアンデルレヒトが支払うことになっている。
第21節のバイエルン戦で早速スタメン起用されたフラプは、見事な先制ゴールを挙げて3-3の引き分けに貢献している。
この試合はバイエルンがクラブワールドカップから帰国直後で、MFトーマス・ミュラーが新型コロナウイルス感染で離脱。負傷者も多く、万全とはほど遠い状況であったことは否めない。それでも、王者相手の引き分けという結果は、12年ぶりの1部挑戦クラブにとってセンセーショナル以外の何物でもないだろう。