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堂安律に攻撃を“依存”するビーレフェルトに「危険な男」奥川雅也が加入 1部残留のカギは2人の日本人が握る
posted2021/02/27 17:02
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
堂安律と奥川雅也がプレーするビーレフェルトは、12年ぶりとなるブンデスリーガ1部を戦っている。
昨季は高い組織力を武器に2部で優勝し、今季は1部残留を目標に戦っているが、戦力は十分とは言えず、シーズン前には降格候補筆頭に挙げられていた。
それでもウーベ・ノイハウス監督は、それまでの戦い方をバージョンアップする方向でチーム作りを進めていこうとしていた。自分たちでボールを保持しつつ、積極的に攻撃を構築していくスタイルだ。しかし、久しぶりのトップリーグでは思うように機能しない。第3節からは7連敗を喫し、17位にまで落ち込んでしまった。
理想と現実。覚悟を決めた指揮官
ノイハウス監督は、そこでポイントを切り替えた。
ボールポゼッションをある程度諦め、まずはコンパクトな守備を基調に1対1で泥臭く戦い、積極的にセカンドボールを狩り、そこから素早く攻める。なんとかセットプレーをもぎ取り、それを最大限に生かす戦い方に活路を見出した。
ビーレフェルトは覚悟を決めた。
あるいは、自分たちのプレーが通用しないことをある程度は想定していたかもしれない。ブンデスリーガの常連は理想を追いかける。上位進出をもくろんでいたシャルケやヘルタ、あわよくば上位へという思いもあったマインツ、ブレーメン、ケルン、アウクスブルク、ホッフェンハイムのようなクラブは、「そんなはずでは……」という思いを払拭できないまま苦しんでしまう。その点、ビーレフェルトは違った。
「1部では理想ばかり追い求められない。そりゃそうだよね」という割り切りができた。そこが大きいと思う。やるべきことがはっきりし、そこに可能性があると見出せたことで、チームの雰囲気も良さそうだ。
キャプテンを務めるFWファビアン・クロスは「シーズン序盤は自分たちの守備に満足ができなかった。だから、何日もハードに練習した。あれから良くなってきている」と振り返る。
少しずつ結果が出始めたことで、迷いなく練習に取り組めるようになる。そして、第17節でシュツットガルトを3-0で下したことが大きな自信となった。