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【ドリームチーム選出】FF誌編集局長が語る舞台裏「ロナウドがクライフに勝ったのはひとつのサスペンスだった」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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posted2021/02/24 17:01

【ドリームチーム選出】FF誌編集局長が語る舞台裏「ロナウドがクライフに勝ったのはひとつのサスペンスだった」<Number Web> photograph by JMPA

バロンドール受賞6回。メッシは名実ともに史上最高のFWだ

――彼ら若い世代がトップに立つまでにはまだ数年かかるということでしょうか?

フェレ いや、今年でも可能だ。たとえばPSGがCLで再び決勝まで進みタイトルを獲得する。またフランス代表もEUROで素晴らしいパフォーマンスを発揮する。そうなったときにムバッペはバロンドールからそう遠くないところにいることになる。ラッシュフォードもそうで、イングランドがEUROで躍進し、彼のクラブがプレミアリーグでタイトルを獲ればチャンスは訪れる。

 それから忘れてはならないのがネイマールだ。彼もアザールやグリーズマンと同世代で、バロンドールを約束されながらいまだ獲得していない。トップ3にはすでに入っている(2015年、2017年)が、メッシとロナウドを超えることはできなかった。ふたりが少し後退した今、次は彼が来るかもしれない。同じクラブのなかにはムバッペというライバルがいる。ふたりにとって今年は大きな可能性がある。

――ネイマールに限らずグリーズマンやアザールにもチャンスはあると。

フェレ アザールはちょっと難しいかも知れないが、グリーズマンにはチャンスがある。他にもモハメド・サラーやサディオ・マネ、カリム・ベンゼマ……。メッシ=ロナウドに次ぐ世代の誰にも可能性は開けている。彼らがチームでどれだけのパフォーマンスを発揮できるか。今年のリバプールは去年ほどではない。レアルも同じで、ここ数年に比べていいとは言えない。すべては今後次第で、まだ2月の段階ではだれも候補とはいえない。

 バロンドールはカレンダー年のパフォーマンスで選ばれるが、2021年はまだ5週間(インタビュー当時)が過ぎたにすぎない。時間を経るごとに、年末が近づくにつれ彼らのパフォーマンスが上がっていく。ホームストレートはまだまだ先だ。

受賞の決定打はスペクタクルなゴール

――最後にふたつ質問を。2019年はメッシとビルヒル・ファンダイクの差が本当に僅かでした(7ポイント)。最終的にメッシが勝ちましたがファンダイクも受賞に十分値しました。

フェレ 素晴らしいふたりの争いだった。メッシの勝利は締め切り直前に決まった。私は毎日のようにブックメイカーの賭け率を見ていたが、ある日はメッシ、次の日はファンダイクと日ごとに変わり、最後まで競争は激しかった。プレミアリーグとCLに優勝したファンダイクは十分にバロンドールに値した。ファンダイクが投票委員たちの心に強い印象を与えられなかったとしたら、それは彼がビッグゲームでスペクタクルなゴールを決められなかったことだろう。

 もちろん彼はディフェンダーであり、仕事の第一は守ることだが、投票委員にインパクトを与えるにはスペクタクルな何かが必要だ。彼に欠けていたのはそうした決定的なプレーであり、人々の心に強いインパクトを与える何らかの瞬間だった。

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