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【ドリームチーム選出】FF誌編集局長が語る舞台裏「ロナウドがクライフに勝ったのはひとつのサスペンスだった」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byJMPA
posted2021/02/24 17:01
バロンドール受賞6回。メッシは名実ともに史上最高のFWだ
――最後の質問です。これからもバロンドールの価値は変わらないのでしょうか?
フェレ その質問に答えるのは難しい……。保証は何もないが、選手たちはバロンドールに大きな憧れと魅力を感じており、彼らが興味を失う瞬間がくるとは想像できない。年間を通じてコレクティブにプレーし、コレクティブに結果を追求するサッカー選手にとって、バロンドールは個人としての栄誉を追求できる年に一度の最高の瞬間だ。そんなすべてを忘れられる一日をわれわれは彼ら選手たちに提供している。だから彼らにとっては、バロンドールはこれからも本物の価値を持ち続ける。
またサッカー界そのものがバロンドールに価値を与えている。そこに議論の余地はなく、サッカーのエキスパートである世界中の180人の投票委員が票を投じている点では非の打ち所がない。昨年のようにすべてをコントロールできるわけではないときもあり、その点では留保が必要だが、それでもトロフィーの価値が下がることはない。創設以来66年目に入った今も同じ価値を持ち続けている。サッカー界のすべての人々、あらゆる組織がバロンドールに敬意を払っている。もちろん選手もだ。
レバンドフスキは素晴らしい1年を過ごした
昨年の投票が中止になりレバンドフスキはとても落ち込んだ。彼は中止を発表したときに私にメッセージを送ってよこした。受賞できると思わなかったら送ってよこさなかっただろう。『2020年の表彰が中止になってとても残念だ。理由がよく理解できない』と彼は書いてきた。だから私は理由を説明した。繰り返すがバロンドールこそは、FFが偉大な選手を招待する日であり、彼らがわれわれのもとを訪れる1年で唯一の日でもある。
――FF誌の昨年最後のロングインタビューがレバンドフスキだったのも、本来なら彼が受賞していたのが理由でしょうか?
フェレ 別に彼に謝りたかったわけではない。そうではなくて、レバンドフスキが素晴らしい1年を過ごしたから彼を取り上げた。われわれにとって彼が昨年のベストプレイヤーだった。ただそれはFF誌にとってであってバロンドールとは何の関係もない。たしかにバロンドールに関する質問をしているが、あくまでもひとつの声であって180人の投票委員を代表しているわけではない。名誉バロンドールでもバロンドールに代わるものでもない。素晴らしい1年を過ごしたことを褒めたたえ、翌年への期待を伝えたかったからだ。
――わかりました。どうもありがとうございました。
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