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【ドリームチーム選出】FF誌編集局長が語る舞台裏「ロナウドがクライフに勝ったのはひとつのサスペンスだった」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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posted2021/02/24 17:01

【ドリームチーム選出】FF誌編集局長が語る舞台裏「ロナウドがクライフに勝ったのはひとつのサスペンスだった」<Number Web> photograph by JMPA

バロンドール受賞6回。メッシは名実ともに史上最高のFWだ

――バロンドールを選ばない代わりに、バロンドール・ドリームチームを選びましたが反響はどうでしたか?

フェレ なぜドリームチームを選んだかといえば、それはこのコロナ禍のもとで歴史全体を振り返って何かできないかを考えて、例年ならばバロンドールが話題になる季節にそれに代わるものとしての企画を思いついた。バロンドールとFF誌の歴史を作ってきたかつての受賞者たちが関わりあえる企画だ。

地球史上最強チームの反響

――それで反響はどうだったのでしょうか?

フェレ 凄かった。特に国際的な反響が大きかったのはわかるだろう。このコロナ禍の難しい時期に、バロンドール歴代受賞者たちも含めたなかからベストチームを選ぶ。2020年のバロンドールはなくなったが、それに代わるものとしての史上最強チームはバロンドールに匹敵する注目を浴びた。投票委員による世界規模の投票だったから、反響もまた国際的だった。雑誌のクオリティも素晴らしく売り上げも上々だった。企画は大成功を収めて雑誌はとても特別な号になった。

――個人的にはセンターフォワードでロナウド(ブラジル)がヨハン・クライフに勝ったのが驚きでした。

フェレ この企画のサスペンスのひとつだった。両者の差は14ポイントしかなく、最後までどちらになるかわからなかった。ふたつの異なるタイプの、どちらを選ぶかという価値観の違いでもあった。身体的な強さと力強さ、モダンフットボールへの適応性がロナウドの特徴であるならば、クライフはサッカーに革命をもたらした変革者であり、洗練されたプレースタイルに特徴がある。まったくタイプの異なるふたりの卓越したフットボーラーだ。あとは公正な投票の結果としか言えない。どちらもドリームチームに相応しいが、ふたりとも選ぶわけにはいかないからだ。最終的にロナウドが選ばれたがとても僅差だった。

――その点をのぞけば、他はドリームチームに相応しい顔ぶれでした。

フェレ チームを見渡したときにすべてが納得できる。史上最強と呼ぶに相応しい陣容で、監督はアレックス・ファーガソンにお願いした。彼もまた伝説的な存在であるからだ。FF誌のインタビューで彼はこう語っている。「このチームを率いるのは簡単だ。というのもこれほどの偉大な選手たちであるから、私が彼らに敢えて何かいう必要はない。唯一問題が起こるとすれば、誰がPKを蹴るかだ」と(笑)。

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