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大学日本一インタビューで「やばいっす」連発 早稲田大ラグビー部の元主将・豊田将万は今何をしている?
posted2021/02/19 11:02
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph by
Toshiya Kondo
「めっちゃくちゃうれしいです!」
2021年1月11日の大学ラグビー選手権決勝、早稲田大を破って悲願の初優勝を遂げた天理大・松岡大和主将の第一声は、実に印象深かった。めっちゃの「めっ」から「ちゃ」に至るまでの絶妙なタメ。飾り気のない、純度100%の喜びに満ちた言葉。観ているこちらまでうれしくなる、記憶に残る優勝キャプテンインタビューだった。
松岡主将の言葉と表情に心和ませながらも、同時に、「そういえば……」と思い出される記憶があった。決勝直後のインタビューで、前代未聞の第一声を残したキャプテンがいたなあ、と。
2008年度の早稲田大学主将、豊田将万だ。2009年1月10日、自ら2トライの活躍で帝京大を破り、早稲田通算15回目の大学日本一を達成した豊田は、アナウンサーにマイクを向けられると、こう答えた。
「やばいっす」
以降、アナウンサーの質問に対して「やばいっす」を連発し、最後は「(今の思いは)後日書面で提出します」と結んだ。
「あれってテレビに映ってたんだ」
「若かったですね。もっとボキャブラリーを持っておくべきでした。でもあの時、用意していた言葉なんて、何もなかったですから。帝京には対抗戦で負けていたし、地力は相手の方が上だと思っていました。勝ったらこう言おうとか、負けたら何を言おうとか、ちゃんとしたキャプテンなら考えるんでしょうけど、(試合終了の)笛が鳴るまで、僕にはそんな余裕はまったくありませんでした。ただ、いま思うのは、相手に対して感謝の言葉くらいちゃんと言うべきだったと思いますね」
そう語るのは、現在34歳の豊田将万である。
「正直に言うと、試合の後にインタビューがあることも知らなかったんです。あとで、ああ、あれってテレビに映ってたんだ、って気づいたくらいで。あの時は、自分の思いはホームページに載せるから、早くみんなのところに行かせてくれよって(笑)」
事実、豊田は決勝後のオフが明けた2009年1月20日、ラグビー部のホームページに「豊田将万より皆様へ」と感謝のメッセージを綴っている。
(https://www.wasedarugby.com/topics_detail/id=2015)
あの「やばいっす」から12年。