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大学日本一インタビューで「やばいっす」連発 早稲田大ラグビー部の元主将・豊田将万は今何をしている?
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph byToshiya Kondo
posted2021/02/19 11:02
大学日本一に輝き、早稲田大学ラグビー部歌「荒ぶる」を歌う豊田将万。2018-19シーズン限りで現役を引退し、現在は社業に専念している
引退の決め手「失礼だな、と思って」
早大卒業後、コカ・コーラに加入した豊田将万は2018-19シーズン限りで現役を引退し、現在はコカ・コーラの社業に専念している。
「30歳を過ぎてから、いつまで現役を続けられるんだろうと思うようになりました。(古傷の)右ひざの状態もよくならなかったし。それでも、2019年W杯があるから、ジャパンに選ばれる可能性が0.1%でもある限り、それに賭けようと思っていました。だけど、2018-19シーズンを戦ってチームの降格が決まった時、クソ、また来年やってやろう! という気持ちが湧いてこなかった。ああ、これはもうダメだって。全身全霊をかけて戦おうとしている選手たちと一緒にいるのは失礼だな、と思って。それが引退の決め手になりました」
現在の業務は、担当する福岡エリアで自動販売機を設置する顧客の管理と新規開拓。博多駅にあるコカ・コーラの自販機は、豊田が担当だという。母校・東福岡高校にある自販機も担当しており、「ちょくちょく母校には顔出していますよ」とはにかむ。
ある時、営業まわりに出た際、こんなこともあったそうだ。
「お客さんの中にラグビー好きの方がいて、去年早稲田が大学選手権で勝った時に言われたんです。『豊田くん以降、優勝したキャプテンが誰で、インタビューで何を言ったのか、全然覚えてないのよ』って。それ、悪い意味で(覚えている)、ということですよねって返しましたが」
ジェイミー・ジャパンに招集?
2017年6月、ジェイミー・ジャパンの宗像合宿を取材した際、グラウンドでばったり豊田と会った。どうやら、練習相手として急きょ呼ばれたそうだ。「えっ? 代表招集なの?」と確かめると、「いや、違います。ただの練習パートナーです」と冷静に返されたことを覚えている。練習後に近況を話し合ったりして、ふと、聞いてみた。
「豊田くんももう30でしょ」
「はい」
「先のこととか考えたりするの?」
「引退後ってことっすか?」
「うん。たとえばコーチとか」
「コーチっすか? まったく興味ないっす」
まったくの「まっ」と「たく」の間には、天理・松岡主将が発した「めっちゃ」の倍以上のタメがあった。でもまあ、31歳になったばかりだし、引退なんかまだまだ先の話か、なんて話しながらも、わずか2年後に引退を発表するとは、微塵も想像していなかった。
「まったく興味ないっす」から4年。しかしコーチングに関して、豊田は心変わりしたそうだ。