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「才能は常にフィジカルに勝つ」最高峰のMFシャビが信奉し続ける攻撃的サッカーの根幹【ドリームチーム選出】
posted2021/02/21 06:00
text by
ジェレミー・ドクトゥール&アントワーヌ・ブーロンJeremy Docteur et Antoine Bourlon
photograph by
Takuya Sugiyama
バロンドール・ドリームチームの守備的ミッドフィルダーおよび中盤のつなぎ役にはシャビとローター・マテウスが選ばれた。
筆者はシャビには投票しなかったが(マテウスは2位に選んだ)、結果を見れば納得の選考であったといえる。シャビこそはひとつの時代、ひとつのスタイルを象徴する存在であるからだ。それは言うまでもなくヨハン・クライフを起源にペップ・グアルディオラが完成させたパスを繋ぐポゼッションスタイルで、1970年代はじめのトータルフットボールや80年代終わりのゾーンプレスなどと並ぶサッカーの革新でもあった。そしてもうひとつ、シャビはそのスタイルをクラブのコンセプトとして選手を育成する、バルセロナのラ・マシアの申し子でもあった。
独自の考え方は言葉の端々に現れている。
「僕が嫌悪するのは得点チャンスを逃すことよりも、ひとつのパスをミスしてボールを失うことだ」
「優れたプレーとは、まず何よりも正しい選択をすることだ」
「予測のためには頭をあげて、ボールを受ける前に周囲を見渡して考える必要がある」
サッカー史上最高の頭脳のひとりが、自らのサッカー観を語りつくしたインタビューを前後2回に分けてお届けする。まずはその前編から。(全2回の1回目/#2に続く・肩書などは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです)
(田村修一)
ピッチの選手は誰もが攻撃し、誰もが守備をする
――あなたはバロンドール・ドリームチームの守備的MFに選ばれました。攻撃的なポジションで選ばれた方が良かったですか?
シャビ まず心に浮かんだのは、このチームの一員になれたのはもの凄く名誉なことだという思いだった。正直に言ってポジションは、守備的MFだろうと攻撃的MFだろうとフォワードであろうと同じだ。どこで選ばれようと関係ない。要は史上最高の選手に選ばれたわけだから、本当に凄いことだ。それに僕はサッカーをより総体的に見ている。つまりピッチの選手は誰もが攻撃し誰もが守備をする。僕にとってサッカーとは、とりわけ監督になってからより強く思うようになったのは、すべての選手が全体に関わっているということだ。そうでなければ何かを成し遂げるのは難しい。様々なポジションを経験した僕としては、ポジションはディテールに過ぎないと言いたい。