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難度の高い手術とリハビリを乗り越えて…日本ハム野村佑希20歳、ベテランも「ヤバイわ」と驚く才能 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/01/29 17:00

難度の高い手術とリハビリを乗り越えて…日本ハム野村佑希20歳、ベテランも「ヤバイわ」と驚く才能<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

昨季は開幕スタメンでプロ初出場を果たした野村。21試合に出場し、打率.257、3本塁打をマークした

キンキンの部屋で体幹トレ

 その間のメニューは、化膿するリスクを極力排除するため、単独で合宿所内のウエートルームで主に消化。発汗を抑えるため、入室した瞬間に「キンキンだった」と体が震えるほど室温が下げられたその空間で、限られた体幹トレーニング、左手のみでバドミントンのシャトルを相手にしたティー打撃など、単調なメニューに終始した。入浴時などは、ビニール袋で右手を完全防護という厳戒態勢のリハビリだった。

 痛恨の捕球ミスに「自分の技術不足」と悔いを抱えながら日々を過ごした。同じく指の骨折経験を持つ浅間大基選手に勧められた、カルシウム成分が豊かな「スギナ茶」を毎食時に摂取。先輩の温かいサポートも受け、先が見えないトンネルを抜けた。シーズン終盤には一軍へカムバック。その後の宮崎県での秋季教育リーグは好成績を残して完走。勝負と決めた今シーズンへと道筋をつけたのである。

「努力できる才能が秀でている」

 野球と向き合う真摯な横顔でも、次代を担うと目される1人でもある。トレーナーの1人は「努力できる才能が、ほかの若い選手よりも秀でている」と明かす。今オフの自主トレーニングは一時、杉谷拳士選手と郡拓也選手、清宮選手と合同で行ったが、ベースは自身で設定した課題を1人で黙々とストイックに消化、克服していくスタイルだという。探究心が旺盛で、ウエートトレーニングなどは課されたメニューの意義などをトレーナーにリサーチ。血肉になると自身で理解、納得した上で着手する。圧倒的な量と質を誇るという。

 象徴する逸話の1つが、肉体に関しての取り組みである。入団前からシーズン中に、季節や状況によって体重が3~5kg程度、落ちてしまうことが弱みの1つだった。パフォーマンスにも影響する課題に対して、圧倒的に食事量を上げることに着手。師事したトレーナーへ時に「食べるのが、本当に苦しいです」と漏らすほど向き合った。消化機能のリミッターを超え、口の周りにヘルペスができてしまうほど胃袋を追い込んだという。

 今では最低指標の常時90kg以上キープの設定をクリアし、生まれ持った頑強な肉体はさらに安定したのである。

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