ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
難度の高い手術とリハビリを乗り越えて…日本ハム野村佑希20歳、ベテランも「ヤバイわ」と驚く才能
posted2021/01/29 17:00
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph by
Sankei Shimbun
胸が躍るような運命の1日から、3年が経った。
2021年。北海道日本ハムファイターズにとって未来を占う1年になると予感している。
チームメートから「ジェームス」と呼ばれ、若くして不屈のストーリーに満ちた20歳がいる。皆が、醸し出す空気に覚醒の予兆を感じている。
広報としてドラフト会議にはこれまで5回、同席して会場で業務にあたった。2017年には清宮幸太郎選手を射止めるなど、それぞれが深く印象に残っている。その中でも一番、年甲斐もなくワクワクしたのが翌18年である。
高校生5人を指名した18年ドラフト
その年は育成選手を含めて8選手を指名した。当時、控室でスカウトの方たちと推移を見守っていた。指名選手が1人、また1人と確定するたびに、どよめきが起こった。スカウトの方たちの興奮が、室内に満ちていった記憶は今も鮮明である。指名を終えて本会議場から控室へ戻ってきた球団幹部は「ミーハー・ドラフトだな」と笑っていたことを思い出す。
高校生5選手を指名した年だった。6位の成田高校の田宮裕涼捕手を除けば、高校野球界を沸かせた全国区の知名度を誇った甲子園球児たちが並んだのである。1位は甲子園準優勝して大フィーバーを巻き起こした金足農業高校の吉田輝星投手、4位では驚異のスケール感を見せた横浜高校の万波中正選手、5位は甲子園V腕の大阪桐蔭高校の柿木蓮投手である。
そして、2位が花咲徳栄高校の野村佑希選手だった。2年目の昨シーズンは、一軍初出場ながらも開幕スタメンに名を連ね、ブレークの胎動を響かせた大型内野手。アメリカ生まれでミドルネームは「ジェームス」という。三塁のレギュラーの座を狙う資格を持つ、ブレークが期待されている右の長距離砲である。
覚醒の予感漂う3年目を迎えた。物静かで口数は多くないが、曇りのない20歳の覚悟を秘めている。
「今年、レギュラーを獲れなかったら、もう(未来は)ないと思っている」