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ベルギー代表・ルカクに「あなたは世界のストライカーの序列で何位ですか?」と聞いてみたら…
text by
ティモテ・ピノンThymote Pinon
photograph byL’Équipe
posted2021/01/24 11:00
ベルギー代表のロメル・ルカク
ルカク 基本的には縦に攻める方が好きだ。ゴールに向かったときに僕は最も危険で、スピードがあるしドリブルも仕掛けられる。右にも左にも展開できる。それが僕のプレーだ。これまでカウンターアタック主体のチームでも数多くプレーしたけど、ベルギー代表ではさらなる進化が求められた。
――どんな風にですか?
ルカク 代表ではボールを保持してもほとんどスペースを見つけられない。だからロベルト・マルティネス監督が、僕がゴールを背負っても容易にプレーできるように、あらゆるお膳立てをしてくれた。代表でもエバートン(ルカクとマルティネスは3シーズンをともに過ごした)でもそうで、当時まだ20歳だった僕は本当に多くを学ばねばならなかった。ただ、そこで進歩を遂げれば、試合でもずっと容易にプレーできることはすぐに分かった。
アザールが仲介した“コンテ監督からのラブコール”
――後にアントニオ・コンテがあなたを(ユベントスに)呼ぼうとしたのは、本物のトップを頂点に据えて3-5-2システムを構築したかったからではないですか。
ルカク コンテには「君がゴールに背を向けて強さを発揮したらそれで終わりだ。誰も君を止められない」と言われた。2014年のW杯のころで、彼がユーベを辞める直前だった。それからチェルシーの監督時代(2016~18年)にもコンタクトはあった。このときはエデン(・アザール)が仲介役を務めた(笑)。
彼がチェルシーのテクニカルディレクターのマイケル・エメナロに僕の携帯番号を教えて、そこから電話でこう言われた。「ロメル、今度来る監督が君を欲しがっている。君じゃなければ駄目だ」と。それでロンドンで会うことになったけど、その有名な監督が誰なのか事前には知らされていなかった。テーブルについて初めてコンテであることがわかった。ただ、後で冷静に考えれば、彼以外には考えられないのだけれども……。
――2人の歩みが再び交差するまで、さらに3年を要したわけですが……。
ルカク 同じチームになるだろうという予感はあった。EURO2016のグループリーグでイタリアが僕らに勝ったとき、彼がどれだけ完璧にチームを仕上げてコントロールしているかがよく分かった。それが僕のスタイルに合っていることも。彼の考えはハッキリしていて、それを実現することしか念頭になかった。
ここでの最初の3カ月も同じで、ただただゴールを背にしてのプレーを繰り返した。練習の度にアンドレア・ラノッキア(195cm、81kg)が背後から僕のマークにつき、決して僕を自由にさせない。そこでボールを失ったら、すべて最初からやり直しだった。
代表コーチの指摘「君とトップクラスの違いは…」
――コンテ監督と出会って、選手としてどこが変わりましたか?