フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ベルギー代表・ルカクに「あなたは世界のストライカーの序列で何位ですか?」と聞いてみたら…
posted2021/01/24 11:00
text by
ティモテ・ピノンThymote Pinon
photograph by
L’Équipe
ロシアW杯準決勝フランス対ベルギー戦取材のため、モスクワからザンクト・ペテルスブルグに向かう列車で、ベルギーのテレビ局に勤める記者と隣り合わせた。
話題の中心はもちろんベルギーが劇的勝利を得たラウンド16の日本戦だったが、その記者がロメル・ルカクを絶賛していたこと、とりわけ謙虚で真面目な人間性を高く評価していたことが強く印象に残っている。
『フランス・フットボール』誌12月8日発売号は、ティモテ・ピノン記者によるルカクのロングインタビューを掲載している。今やヨーロッパを代表するストライカーの1人となったルカクが、自らのプレースタイルと世界サッカーにおける自身のヒエラルキーについて詳細に語った。(全2回の1回目/#2へ続く・肩書などは掲載当時のままです)
(田村修一)
「試合前にある程度のアイディアは思い描いている」
――キックオフの際にロメル・ルカクは何を考えていますか。得点ですか、勝利ですか、それとも楽しむことですか?
ルカク もちろん勝利だ! イタリアでは勝利が何よりも優先される。ここイタリアとイングランドでは、試合へのアプローチに大きな違いがある。僕は自分がやるべきことに集中する。戦術的なミス(ポジショニングや動き方でのミス)は、ここでは絶対に許されない。
――すべてが緻密に作りあげられているということですか?
ルカク 選手ひとりひとりの動きが詳細に定められる。インテルの場合、すべての選手が攻撃ではどうすべきかを正確に理解している。だからたった1つのミス(タイミングであったり技術的なミスであったり)が、すべてを台無しにしてしまう。
僕が戻るのを怠って中盤との間にスペースが生じれば、相手はそれに乗じてこちらは後退を余儀なくされる。ボールの位置により動きもすべて異なる。だからこそ高い集中力が求められる。
――相手の観察には数分かかりますか?
ルカク 弱点がどこにあるかよく見るようにしている。とりわけボールを失う場面だ。ラウタロ・マルティネスとアレクシス・サンチェスにスペースを作るために僕が相手ディフェンスを引きつけるか、あるいは僕自身が縦に速い攻撃を仕掛けるのか……。ただ通常は、試合前にある程度のアイディアは思い描いている。
――それはビデオによってですか?
ルカク インテルは僕のためにワイスカウト(試合の視聴ができるプラットフォーム)のアカウントを取得してくれた。それがとても役に立っている。前季対戦したチームで今季も監督が替わっていなければ、基本コンセプトに大きな変化はない。試合前には2度の全体ビデオミーティングがある。それらすべてをうまく活用して対戦を振り返り、どうすれば相手を混乱させられるかをよく考える。
ルカクが考える“自身のプレースタイル”
――ポストプレーで相手を崩すのと、自らスペースに攻め込むのとではどちらが好きですか?