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空港に閉じ込められ...対戦相手から「昨夜はよく眠れたのか?」 ある代表チームを襲った“衝撃の事件”とは?

posted2021/01/24 06:00

 
空港に閉じ込められ...対戦相手から「昨夜はよく眠れたのか?」 ある代表チームを襲った“衝撃の事件”とは?<Number Web> photograph by Facebook Fédération Gabonaise de Football

ガボン代表団はバンジュール空港の地面で一夜を過ごすことになった

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フランク・シモン

フランク・シモンFrank Simon

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 アフリカネーションズカップ(以下CAN)予選でガボン代表が遭遇した信じられないトラブルは、日本でも報じられたのでご存じの方も多いかも知れない。だが、その実態は、日本で伝えられた以上にずっと深刻であると同時に、アフリカの実情を考えたときに起こり得ることでもあった。

 日本や西洋とアフリカでは、社会の在り方、時間の流れ方がまったく異なる。

「夜8時にレセプションは始まる。アフリカ時間で」

 フィリップ・トルシエにそう言われ、9時に会場に到着するとひとっこひとりいなかった。大きなテントの中には、椅子とテーブルこそ用意されているものの他には何もないし誰もいない。場所はブルキナファソの首都ワガドゥグー。《ブルキナのジーコ》と呼ばれたカスム・ウエドラオゴの引退記念試合の夜のことだった。本当にここでレセプションが始まるのかと半信半疑で待っていたら、徐々に人が集まりようやくスタートしたのは10時を回るころだった。しかも深夜12時にイベントが終わるまでに、2度ほど停電があり会場が真っ暗になった。こんな事態もアフリカでは、良い悪いの問題ではない。繰り返すが、社会の在り方の違いである。

 CAN予選のガンビア戦を戦うために移動中のガボン代表は、試合前夜を空港で過ごさねばならなかった。彼らによれば、それはガボンの力を弱めるためのガンビアの策略であり、この奇異なエピソードは外交衝突にまで発展した。『フランス・フットボール』誌12月8日発売号では、フランク・シモン記者がそんなアフリカの現状をレポートしている。

(田村修一)

◆◆◆

 何人かの選手は、最後の旅行者が荷物を持ち去った後に停止したベルトコンベアに上に座っている。他は床に直接腰を下ろすか、タオルを敷いて横たわり束の間の睡眠をとろうとしている。ガボン代表監督を務めるパトリス・ヌブーは疲れ切った表情を浮かべ、隣ではチームのキャプテンであるピエール・エメリク・オーバメヤンの父親ピエール・オーバメヤンがやはりうんざりした表情を見せている。他のチーム役員や選手たちも同様で、みなひきつった笑いと不安の涙を、誰もいないバンジュル・ユンドゥム空港で交互に浮かべていた。

 フロアには、音楽のみが空しく流れている。だが、空調がほどなく切られたために、よどんだ空気があたりに充満し始めた。さきほど一行を受け入れた税関のボックスにも今はもう誰もいない。

聞いていた話と違う「パスポート没収」

 ときは2020年11月16日午前1時。ガボン代表は試合前夜にチャーター便で、首都のリーブルビルから同国第3の都市フランスビルを経由してガンビアの首都バンジュルに到着した。試合前夜に現地に着くのは長い議論を経ての決定だった。その4日前にホームでガンビア相手に勝利(2対1)をあげたガボンは、翌日の移動よりも国内で十分に回復を果たしてから敵地に乗り込むことを選んだのだった。

 問題は、彼らの誰もがパスポートを持っていないことだった。コロナテストを全員一致で拒否した際にすべてのパスポートが押収されてしまったのだ。

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