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【電撃退団に批判】本田圭佑に在ブラジル日本人「敵前逃亡。我々も嘲笑される」 振り返れば残念な“1年前の会見”
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2021/01/01 17:01
さしたる結果をボタフォゴで残せなかった本田圭佑。キャリアのピンチに立たされたのは確かだ
「一時期、(ボタフォゴに)残るという発言をしたが、自分で誤解していたことがあった。いずれまた欧州でプレーしたいと思っているが、ボタフォゴで2月末までプレーした場合、フリーエージェントとはみなされず、欧州クラブには入団できないことがわかった。
これは誤算であり、(ファンには)謝るしかない。今後は、1月初めにポルトガルへ行き、(オファーをくれた)ポルティモネンセを視察する。一番確認したいのは、監督が優秀かどうか。選手のクオリティーも見る。
今は怪我をしているし、ポルティモネンセとは、お互いが合意に至れば1月末までに契約することになっている。ただし、欧州の他のクラブからオファーがあれば、それも考慮するつもりだ」
セードルフのような活躍を求められた
ともあれ、どう考えても非常に唐突で、なおかつ意外な退団だった。あっという間だったブラジルでの10カ月を振り返ってみよう。
2020年2月、本田は「ACミランで背番号10を付けた男」、「日本代表としてワールドカップ3大会に連続出場し、すべての大会で得点とアシストを記録した実力者」として地元メディアとサポーターから熱狂的に迎えられた。ここ近年低迷する古豪ボタフォゴを蘇らせてくれる救世主としての役割を期待された。
地元メディアとファンが切望したのは、2012年7月に加入して約1年間在籍し、2013年にリオ州選手権制覇の立役者となった元オランダ代表MFクラレンス・セードルフのような活躍だった。加入時のセードルフは36歳であり、本田の33歳という年齢は問題とされなかった。
3月15日、本田はリオ州選手権でデビューし、PKを決めて幸先の良いスタートを切る。その直後、新型コロナウイルス拡大の影響でシーズンが中断されたが、7月に再開されるとパウロ・アウトゥオリ監督からキャプテンに指名された。ボランチとしてのプレーとリーダーシップの両面でチームを牽引することを期待された。