熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
【電撃退団に批判】本田圭佑に在ブラジル日本人「敵前逃亡。我々も嘲笑される」 振り返れば残念な“1年前の会見”
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2021/01/01 17:01
さしたる結果をボタフォゴで残せなかった本田圭佑。キャリアのピンチに立たされたのは確かだ
そして9月17日、コパ・ド・ブラジルの宿敵バスコダガマ戦で決勝点のお膳立てをし、守備でも奮闘して勝利に貢献した。その月末に開幕したブラジルリーグの初戦で敗れると、クラブはアウトゥオリ監督を解任。新任のブルーノ・ラザローニは、本田をMFとして起用する。チームは強豪パルメイラスに快勝し、さらに本田のミドルシュートによる得点などで今季初めて連勝。順位を13位まであげた。
今にして思えば、この頃が今季のボタフォゴと本田の最高到達点だった。
ツイッターでのボタフォゴ再建案以降が……
10月27日、コパ・ド・ブラジルのクイアバ戦で本田の不用意な横パスから決勝点を奪われ、これが響いて敗退。以後、地元メディアとサポーターが手のひらを返し始める。その後、11月5日、ボタフォゴは元アルゼンチン代表で1993年に横浜マリノスでもプレーしてJリーグ初代得点王となったラモン・ディアスを監督に招聘した。
翌日、本田はツイッターで財政難に喘ぐボタフォゴの再建案をぶち上げた。欧州なら反発を招きかねない行為だったが、「ボタフォゴ愛」を強調したことで地元メディアとサポーターからは好意的に受け止められた。ただし、クラブ首脳はこの提案を一顧だにしなかった。
その2日後、本田はアウェーゲームに同行せず、チームは敗れて降格圏の17位へ陥落。地元メディアは、「クラブ再建を唱えた男が直後の大事な試合を欠場したことに、チームメイトの多くが憤っている」と伝えた。
なおディアス新監督は、健康上の問題で就任が遅れた。コーチを務める息子が監督代行を務めたが(このときから本田はキャプテンではなくなる)、3戦全敗。チームは19位へ沈んだ。
突然の“退団意思”表示にファンから反発
さらに11月27日、クラブがわずか22日でディアスを解任すると、本田はツイッターで「アンビリーバブル」と驚き、「もし彼らが近日中に僕を納得させられなければ、出て行くことを考え始める」とコメントした。
この発言は、クラブ関係者、地元メディア、サポーターの強い反発を招いた。それでも、本田はクラブの強化部長から事情説明を受け、退団を思いとどまった。
12月5日、「ポルトガル1部ポルティモネンセが本田にオファーを送った」と報じられた。これに対し、本田は「NOWVOICE」で、「オファーを受けたのは事実だが、断った。(降格の危機にあるボタフォゴを)1月に退団することはできない。それはチームのためでもあるが、それ以前に自分のプライドが許さない」と語った。