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瀬古利彦&渡辺康幸の秘話 “山の神”以前から柏原竜二に注目…「早スポ」の箱根駅伝愛が深い!
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySatoshi Shigeno
posted2021/01/02 06:02
2020年度の早稲田スポーツ「箱根駅伝号」と楽天ドラ1の早川が1面の「早慶野球(秋)号」。記者の熱いハートがこもっている
「みんなでご飯を食べて合宿所で生活してるでしょ。個人ではオリンピックを目指していたけど、年に1回、やっぱり箱根っていうのはみんなのためにも頑張らなきゃという気持ちだったね」
この言葉を見ると、ああやっぱりずっと母校愛を持っている人なんだなあ……としみじみした。
コーチ・瀬古の興味深いコメント
また瀬古は、渡辺がスーパールーキーで加入し、武井隆次・櫛部静二・花田勝彦のトリオを擁して総合優勝を成し遂げた第69回大会の1月号でも登場している。
当時コーチだった瀬古は「選手との年齢差があまりないので最初は馴れ合いになってしまい手間取った面もあったが、今年はそういった関係を断ち切って指導した」との興味深いコメントを残していた。
大八木監督、“山の神”前の柏原については……
早スポからスポーツ愛を感じるのは、ライバルの他大学の記事についてもだ。他競技で言えば慶応義塾大学なら若きプリンス高橋由伸、今や「ノーサイド・ゲーム」のイメージな廣瀬俊朗、明治大学なら下級生時代の田村優、といった具合に“この大学のスター選手に話を聞いてみたい”となるのだ。
その好奇心は、選手だけにはとどまらない。箱根号で言えば2009年1月2日付の号で、駒沢大学の大八木弘明監督へのインタビューを敢行。当時の早稲田と駒澤の率直な印象について指揮官にぶつけているのだ(ライバル校が発行する新聞の取材に快く応じる大八木監督の器の大きさにも驚かされる)。
同年の記事には、箱根の山が生んだスーパースターについての記述もある。
二代目「山の神」こと柏原竜二だ。この日、5区で衝撃の走りを見せることになるルーキーを、早スポは他大戦力分析という記事で「一人で大きく流れを変えることができ、旋風を巻き起こすことができるか」と柏原について記している。大学生なのによく調べているな……と感心するばかりである。
箱根に挑むランナーと同世代だからこそ感じること、熱心にリサーチした話が、学生スポーツ新聞には記されている。ちょっと青臭いけど驚くほど完成度の高い紙面を――コロナが収まった近い未来、ぜひ手に取ってもらいたいものだ。