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家長昭博、堂安律…“ガンバ逸材レフティ”の系譜 高校2年でJ1デビュー中村仁郎が受け継ぐDNAとは
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/12/26 11:05
トップデビューを果たした中村仁郎。17歳、ガンバの“逸材レフティ”として急成長を遂げてほしいところだ
中村にとって追い風となったのは自身のストロングポイントを評価する熱血漢から指導を受けたことである。
「僕は小学生の頃パサーで、キックが昔から得意なんです。キックが得意だった時代を思い出させてくれた仁志さんがいて良かったし、嬉しかったです」
原石は撫でているだけでは輝かない
もっとも、熱血漢の指導のポリシーは「原石は撫でているだけでは輝かない」(森下監督)だ。
トップに川崎修平や塚元大、唐山翔自のルーキートリオを送り出し、FW陣が手薄だったガンバ大阪U-23で、森下監督は11月以降、より相手のプレッシャーが強く、プレー強度の高さが求められる2シャドーの一角で中村を起用。J3の真剣勝負の場で、時にフィジカルコンタクトに苦しみながらも、17歳は逃げることなくシュート意識と課題だったオフザボールの感覚を磨いていくのだ。
「仁郎に点を取らせるための布陣」
「仁郎に点を取らせるためのフォーメーションです」と森下監督が言い切った12月6日のアスルクラロ沼津戦では、泥臭くゴール前に飛び込みヘディングシュートで試合を振り出しに戻すと、絶妙なスルーパスでも逆転ゴールを生むPK奪取を演出。両チームを通じて最多となる5本のシュートを放った中村は、この試合を機にトップチームに抜擢されることになる。
清水エスパルス戦では15分足らずのプレーだったが、「自分がずっと目標にしていた場所の1つでもあるし、もっと緊張すると思ってたんですけど思ったより緊張しませんでした」と初々しい笑顔を見せた。
そんな17歳は近年のガンバ大阪が抱える問題への処方箋となるべき存在でもある。
リーグタイトルの奪還は逃したが、世代交代への道筋をつけながら2位に食い込み、来年のアジアチャンピオンズリーグへの出場権も手にしたガンバ大阪。しかし、2年連続で掲げている「GAMBAISM」のスローガンの体現は未だ道半ばである。