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家長昭博、堂安律…“ガンバ逸材レフティ”の系譜 高校2年でJ1デビュー中村仁郎が受け継ぐDNAとは
posted2020/12/26 11:05
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph by
J.LEAGUE
3年目を迎えた宮本体制では最高順位のリーグ2位でシーズンを終えたガンバ大阪。ホームで行われた最終節は、その時点で最下位の清水エスパルスに0対2で完敗を喫し、有終の美を飾れなかったが、1万5252人の観衆は新たな逸材のトップデビューを目の当たりにした。
リーグ最多失点の守備陣相手に決定機を作りきれず、敗色濃厚だった後半35分すぎのことだ。
ガンバ大阪のサポーターから驚きに似た歓声が湧き上がる。宮本恒靖監督に呼ばれて、途中出場の準備を始めたのは3日前の横浜FC戦で初めてトップチームのサブメンバー入りを果たしたばかりの中村仁郎だった。
「どんどん顔を出してボールを受けて、攻撃しろ」
指揮官から檄を飛ばされてJ1デビューを飾った17歳は、後半36分からトップ下のポジションで得意のシザースやドリブルを披露。ゴールこそ逃したものの鋭い枠内シュートも放つなど、明らかに攻撃の流れを変えてみせたのだ。
高校2年生でのJ1デビューは堂安以来
17歳3カ月27日でJ1デビューした中村だが、ガンバ大阪で高校2年生にしてJ1のピッチに立ったのは同じレフティの堂安律以来、5年ぶりの快挙だった。
自らのドリブル突破で得たFKの場面では「自分がファウルをもらったし、(矢島)慎也君も『蹴るか』って聞いてくれたので『蹴ります』と普通に言いました」と先輩にプレースキックを譲らない強気の姿勢も、かつての堂安を思わせる頼もしいものだった。
高校1年生だった昨年、J3リーグを経験し、15歳10カ月29日でJリーグデビュー。久保建英(現ビジャレアル)が持つ15歳5カ月1日のJリーグ最年少記録には及ばなかったが、歴代3位の年少記録とともにクラブ記録も樹立。ところが今季はグロインペイン症候群などの影響もあって、出遅れが続いていた。
そんな逸材がガンバ大阪ユースで戦線復帰し、今季初めてJ3リーグの舞台に戻ってきたのは9月19日のヴァンラーレ八戸戦だった。