落合の解雇を示唆する発言が漏れた

　この席で巨人のフロント幹部が清原にレギュラーポジションを約束し、落合の解雇を示唆する発言をしたことが、一部の清原に近い報道関係者から漏れた。それを伝え聞いた落合が「ジャイアンツがクビだと言ったら、オレは（他チームの）どこででもやる。オレを辞めさせたいんだろうが、オレは辞めないよ」と反発し、球団と落合の対立が表面化することになったのである。

　実は巨人の落合を巡る動きは、1年前、95年のシーズン中から始まっていた。

　この年のシーズン開幕直後に西武の堤義明オーナーとも通じるある人物から「今季中にフリーエージェントの権利を取得する清原が巨人に移籍したがっている。自分はその仲介ができる」という話が巨人に持ち込まれたのだった。

条件の1つが「一塁のレギュラーポジションの確約」

　かねてから長嶋茂雄監督は松井秀喜外野手とコンビを組める右の強打者を探していた。もちろん2年前にチームの軸になる打者として中日からFA移籍で獲得した落合もその1人ではあったが、40歳を越えて年齢的な衰えもあり、故障も多くなってきていた。そんなチーム事情もあり清原獲得は巨人にとっても、長嶋監督にとっても渡りに船の話だったのである。

　そうして水面下で清原獲得の事前調査が進んでいった。その時に仲介した人物から巨人に示された条件の1つが「一塁のレギュラーポジションの確約」だったのである。

　リーグを変われば、初めての投手との対戦がほとんどになる。移籍のプレッシャーもあり、シーズン当初は苦労する可能性も高い。じっくり腰を据えて打席に立てるように一塁のレギュラーを確約して欲しい。それが清原の巨人移籍への条件だと仲介者から伝えられたのである。

　ただ巨人の一塁には落合がいた。それでも清原はどうしても欲しい。そこで巨人側が出した結論は、落合を解雇して清原の定位置を確保するということだったのである。

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