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「ベンチプレスは100kg超」「部員数が80人に激増」《偏差値68》スポ薦ゼロの国立大チアリーディング部「最強の素人集団」を日本一に導いた“3つの独自戦略”

posted2026/02/24 11:01

 
「ベンチプレスは100kg超」「部員数が80人に激増」《偏差値68》スポ薦ゼロの国立大チアリーディング部「最強の素人集団」を日本一に導いた“3つの独自戦略”<Number Web> photograph by 東京外国語大学チアリーディング部RAMS提供

2023年、2024年とチアリーディングの全日本インカレで連覇を果たした東京外国語大学。スポーツ推薦なしの国立大の躍進の理由は?

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別府響

別府響Hibiki Beppu

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東京外国語大学チアリーディング部RAMS提供

 多くの大学生アスリートにとって最高峰の舞台である全日本インカレ。その舞台で、スポーツの世界では全くの無名だったある難関大学が2023年、2024年とチアリーディング競技で「まさかの連覇」を達成した。その奇跡のウラには、様々な秘話があった。《NumberWebノンフィクション全3回の2回目/つづきを読む》

 快進撃の足掛かりとなったのは今からちょうど10年前、2016年の転機だった。

 この頃、その4年ほど前から東京外国語大学チアリーディング部のコーチを務めていた若生充央は、小さな壁にぶつかっていた。

 日本代表として世界大会も制した若生自身の指導は、部員たちの国立大生らしい真面目さとも相まって少しずつ結果を出しはじめていた。それまでは出場することすらできていなかった夏の全日本選手権にも、どうにか出場できるレベルまではたどり着いた。個人としても、男子部員の中には日本代表に選ばれるような選手も出てきていた。

痛感した「日本トップとの差」…自分たちは何を目指す?

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 一方で、基本的なチアリーディングの技術や組織レベルが上がれば上がるほど、それまでは気にすることすらなかった日本の学生トップを争うような大学との「埋めがたい差」が部員たちの目に入るようになってきたのだ。

 2016年当時、3年生で部の主務を務めていた小西真央子はこう振り返る。

「若生先生の指導のおかげもあって、ある程度はチームの技術レベルは上がった。組織としても体育会の部活らしくはなってきた。でも、強豪私学と比すれば純然たる運動能力の差は、当然ある。その中で『何を目指すのか?』というのが問題になってきたんです」

 若生も当時をこう述懐する。

「やっぱりスポーツ推薦のない国立大学――しかも1学年で800人程度しかいない日本屈指の小規模大学だと、普通に『全日本インカレや、全日本選手権で勝つ』ことだけを目標にしても限界があるんです」

 チアリーディングという競技で高得点を出そうと思えば、どうしても空中動作の回転能力やバランス感覚が必要になってくる。これは体操競技と同様で、幼少期の経験値が大きく関係する。そのため、どうしても小さな頃から競技を経験した選手がスポーツ推薦の形で入学してくる強豪私学とは差が出てしまうのだ。

【次ページ】 目標は「大会結果」より「強い組織を作ること」!?

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#若生充央
#東京外国語大学

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