欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
岡崎慎司はビエルサのリーズに誘われていた? 滝川二高と世界的戦術家の不思議な縁とは
text by
赤石晋一郎Shinichiro Akaishi
photograph bySANKEI SHINBUN
posted2020/12/12 17:02
2003年1月、全国高校サッカー選手権準々決勝、滝川二-東福岡の後半36分、勝ち越しのゴールを決めた滝川二FW・岡崎慎司(左)
ビエルサが岡崎について語ったこと
「ユウコウの所まで岡崎が家族と共にわざわざ来たということは、大きなリスペクトであり、彼の誠実さを物語っている」
同年7月にはレスター退団が決まった岡崎に対して、リーズが補強候補選出としてリストアップしているという報道がイギリスメディアを賑わせた。
「慎司はレスターでも惜しまれつつ退団することになりました。彼のいいところは、どのチームでも愛されており、惜しまれながら退団するという人柄やキャラクターの良さだと思います。彼は決して現状に満足することなく、常に新しい挑戦を求めているような選手なのです」(荒川)
結局、岡崎はリーズ移籍ではなくスペインの地へ赴くことになる。奇跡の邂逅は実現しなかったが、リーズが岡崎獲得を検討していたというメディア報道は不思議な縁を感じさせるものだった──。
偉大な選手がコーチを偉大にする
時を戻そう。
黒田・荒川体制となった滝川二高は2002年度、2003年度の高校選手権でベスト4に進むなど早速結果を出す。高校選手権のベスト4からは、聖地である国立競技場での試合となる。滝川二高のメンバーは大きな自信を手にした。
「黒田さんという上司にも恵まれたうえに、選手も粒ぞろいという本当に素晴らしい環境でした。アルゼンチンには『偉大な選手がコーチを偉大にする』という格言があります。まさに選手達によって私たちスタッフは成長させてもらい、刺激的な指導者生活を経験することが出来ました」(荒川)
当時のメンバーからは岡崎や木島だけではなく、河本裕之(現大宮アルディージャ)、上杉鉄平(元アルビレックス新潟など。現ギラヴァンツ北九州GKコーチ)、森島康仁(元セレッソ大阪など。現藤枝MYFC)、清水圭介(現京都サンガ)、指導期間は短かったが金崎夢生(現名古屋グランパス)など多数のプロ選手が誕生した。それ以外のメンバーにも凄い選手が滝川二高には揃っていたという。