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【W杯制覇から6年】ドイツの“緊急事態” FIFAランク14位、0-6惨敗でレーブ監督に93%が「No」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/11/24 11:00
スペイン相手とはいえ0-6……ブラジルW杯王者ドイツは立ち直ることができるのか
本来「そんなケアレスミスを……」と頭を抱えるようなミスをしないはずの選手たちが、初歩的ミスを犯してしまっている点が問題だ。やるべきサッカーとやっているサッカーがシンクロしていない。
ドイツは、試合を重ねるごとにチーム力が上がっていく「トーナメントチーム」として世界でも最大級の評価を受けている。
しかし現在、コロナ禍により試合数は確保できない。次の代表戦は来年の3月までない。今季のブンデスリーガは開幕の後ろ倒しにより冬休みがほとんどなく、スケジュールはぎゅうぎゅう。そんなシーズンを戦った後に、果たして選手たちはどれぐらいコンディションを上げることができるのだろうか?
最高を求めるには、時間がなさ過ぎる
「正しく分析しなければならない」とレーブ監督は振り返っていたが、これまでの大会前のように時間をかけてチームを作れない以上、これまで培ってきた経験をベースに最適な布陣と戦い方を見出さざるを得ない。最高を求めるには、時間がなさ過ぎる。
現有戦力で大会を迎えるとした場合、キミッヒを3バックの真ん中に置いた3バックはどうだろうか? 守備の要と期待されているニクラス・ズーレだが、膝の十字靱帯断裂の重傷から完全復帰はしていない。おそらく自分のことで精一杯の彼に、守備陣を指揮する役目は負担が大き過ぎる。
キミッヒに全体を統率してもらって……
それよりも、リーダーとしての資質も素晴らしいキミッヒにピッチ中央でチーム全体をコントロールしてもらい、対人に強いズーレとマティアス・ギンターを左右に配置する。両SBは守備の安定感を買ってルーカス・クロスターマンとマルセル・ハルステンベルクがファーストチョイスになるはずだ。攻撃力が魅力のフィリップ・マックスは相手に応じて起用するのが面白い。
ボランチは配球力のあるクロースと推進力のあるゴレツカをセット起用。ポゼッションを高めたいときはギュンドガンという選択肢もある。また、ここ最近存在感を増しているフロリアン・ノイハウスも貴重な戦力だろう。
トップ下には変化をつけられるハバーツ。そして、サネ、ニャブリ、ベルナーのうち、コンディションと対戦相手との相性を見て2トップを組み合わせる。安定感は欠くものの、ユリアン・ドラクスラーとユリアン・ブラントは攻撃にアクセントを加えられる選手だ。いずれにしても、大会では途中出場で流れを変える選手も必要だ。
ミュラー、ボアテンク、フンメルスの復帰の可能性も考えられる。いや、考えなければならない。「3人が復帰するときはレギュラー選手として」とレーブ監督は答えていたが、当時と現在とでは状況が違う。所属クラブで主力になれていない選手が多く座るベンチの顔触れは、あまりに心もとない。