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【W杯制覇から6年】ドイツの“緊急事態” FIFAランク14位、0-6惨敗でレーブ監督に93%が「No」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/11/24 11:00
スペイン相手とはいえ0-6……ブラジルW杯王者ドイツは立ち直ることができるのか
意思統一を感じさせない守備。中盤と前線の選手が足を止め、相手ボールの行方を目で追うシーンのなんと多いことか。どのように守るか、どこに追い込むか、どこで奪うかという守備ルールが徹底されておらず、一局面ごとに「どうしよう?」と考えるため適切な判断を下すまで時間がかかってしまう。
マークの受け渡しといったコミュニケーションも曖昧なままだ。
このままではダメ。それは誰の目にも明らかだ。いずれにしても、欧州選手権での目標、その後のカタールW杯への道筋を定め、それに向けてどのようなチーム作りをするかを、今一度見つめ直さなければならないだろう。
屈辱のロシアW杯以降、変革に着手も
グループリーグ最下位に終わった2年前のロシアW杯以降、レーブ監督は将来性のある若手が実戦で成長できる機会を作るため、抜本的な変革に着手してきた。
かつてマヌエル・ノイアー、マッツ・フンメルス、ベネディクト・ヘベデス、メスト・エジル、ジェローム・ボアテンク、サミ・ケディラといった2009年U-21欧州選手権優勝メンバーを一気にA代表の主軸に据え、それをベースに2014年W杯優勝へと導いた経験もあったことから、若手登用の重要性を誰よりも感じていたのだろう。
これまで主軸だったトーマス・ミュラー、ボアテンク、フンメルスをメンバーから外し、若手を主軸として経験を積ませることを第一としてきた。
そうすることで得られた成果は多い。レロイ・サネ、セルジュ・ニャブリ、ティモ・ベルナー、カイ・ハバーツらで構成される攻撃陣は魅力的で、バイエルンをCL優勝へ導いたジョシュア・キミッヒ、ゴレツカのボランチコンビもいる。クロース、ギュンドガン、ノイアーといったベテランも健在だ。
攻撃陣に才能豊かな若手を抱えることは素晴らしいことだが、ただ攻撃的な選手を多く起用すれば機能するわけでも、試合に勝てるわけでもない。サッカーは、攻守のバランスこそが大切だ。同時に、守備の安定なくして好成績を収めることはできない。