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【W杯制覇から6年】ドイツの“緊急事態” FIFAランク14位、0-6惨敗でレーブ監督に93%が「No」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/11/24 11:00
スペイン相手とはいえ0-6……ブラジルW杯王者ドイツは立ち直ることができるのか
チームとして積極的にボール奪取に行くならいいが、意思疎通が取れていないまま前へ出るだけでは、やすやすとパスを回されてしまう。
ましてや相手は、世界トップクラスのパスワークを誇るスペインだ。連動性のないやみくもなプレスに意味はなく、カウンターの機会をプレゼントするようなもの。CBの2人が何度も引き出されて、中央にぽっかりとスペースができてしまうなんて、あり得ない。
後半の3失点はすべてカウンター
後半の3失点はすべてカウンターからで、最後はフリーの相手にシュートを許している。あと3、4失点していてもおかしくない展開だった。
いかに守るかは、ロシアW杯後にレーブ監督が最初の課題として取り上げたテーマだ。ここ数年のドイツは、3バック+ボール奪取後の素早い攻撃を戦術のメインに据えてきていたはず。2019年にはそうした戦い方がある程度は浸透してきて、ヨーロッパ選手権予選を首位で通過している。
その後、コロナ禍で代表戦が長く中断したことは不運だが、再開後はどうにもリズムに乗れないままでいる。攻撃で膠着状態が続くことが問題視されて、それを改善するために10月13日のスイス戦から4バックへシステム変更したが、それも機能していない。
布陣と選手の組み合わせがマッチしていない
そこからのスイス、ウクライナ、スペインとの3試合で10失点……。明らかに多すぎる。どうにも戦い方と布陣、選手の組み合わせがマッチしていないように思われてならない。
この日、中盤でスタメン起用されたクロース、レオン・ゴレツカ、イルカイ・ギュンドガンのクオリティが低いはずがない。R・マドリー、バイエルン、マンチェスターシティといったトップクラブで主軸となっている選手たちだ。
ただ、ボールを持ったときに力を発揮できる選手が多い一方、相手ボールを取り切れる選手が少ない。そうした場合、チーム全体の組織的な囲い込みから数的優位を作り出し、ボールを奪取するしかない。あるいは奪えないにしても、最低限、後ろに戻させる機会を増やさないと厳しい。
スペイン戦に限った話ではない。11月14日に行われたウクライナ戦は3-1で勝利したとはいえ、守備面では課題ばかりが目立った。