野球のぼせもんBACK NUMBER
【初の投手2冠】ソフトバンク石川柊太が語る中日・吉見への恩義と「ももクロ」ライブで考えたこと
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2020/11/14 11:01
11月9日の西武戦に登板し、11勝目を挙げたソフトバンク石川
石川はプロ7年目で初めてタイトルホルダーに
結局、吉見はその後のオフは、日程やコンディションなどの都合がつかずに鴻江合宿に参加することが出来なかったため、彼らが一緒に練習をする機会はなかったが、3年の月日がたった現在もなお良好な関係が続いていることがとても微笑ましく感じられた。
3年間は長いようで短い。過ぎてみればあっという間だ。
今年、千賀がパ・リーグの投手三冠(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振)に輝き、そして石川が投手二冠(最多勝、最高勝率)を手にした。
千賀は過去にも個人タイトルを獲得したことがあったが、石川はプロ7年目で初めてタイトルホルダーとなった。
もともとは千賀の背中を追いかけていた石川。
あんなに大きな差があったし、千賀にしても今なお途轍もない成長速度で前に進んでいるにもかかわらず、石川がその差をこれほどまでに詰めたことに驚くばかりだ。
「千賀には千賀の野球人生がある」
ただ、石川に水を向けると、笑ってこのように返された。
「差が縮まるというのは違うと思います。人は、それぞれ違うレールを走っていますから。千賀には千賀の野球人生があるし、僕には自分の野球人生がある。だから『追いつく』っておかしい話じゃないですか。
他の人の物語に自分が乗っかってしまうと、自分を見失ってしまう。僕は、自分自身のストーリーの中で、自分の野球人生を全うしていけばいいんです」
だけど、と石川が言葉を継ぐ。
「大体『育成初』って言葉がつくものが大体千賀が記録していますもんね。ホークスでの記録でいえば『初登板初勝利』くらいしか僕が千賀に勝っているものがない(笑)。その意味で千賀というピッチャーがいることで自分はまだまだだなと思わせてくれる。刺激になっていますね」