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「2年連続最下位オリックスがなぜ“高校生”ばかり…」が的外れなワケ ドラフトウラ話【オリ・楽天編】
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2020/11/11 17:02
オリックスから1位指名を受け、母美智代さん(左)と笑顔を見せる福岡大大濠高の山下舜平大投手
「MAX155キロ」……大きな数字で語られることが多い剛腕・高田孝一(投手・法政大)だが、平塚学園当時は、むしろ丹念にコースを突いていく「好投手」だったから、今もピッチングの本質は「低めに丁寧に」だ。
速いボールが投げられるようになっても、パワーだけに寄りかかった、単純なピッチングをしない。用心深さとゾーンの低さ。これは、プロ野球投手としての「財産」だ。スライダー、ツーシームにフォークも駆使して、試合後半まで「ピッチング」ができる。
東洋大当時は不遇だった3位・藤井聖(投手・ENEOS)。同期に、上茶谷大河(DeNA)、甲斐野央(ソフトバンク)、梅津晃大(中日)がいて出番がなく、その「三本柱の影」から解き放たれたENEOSでの2年間は、まさに「自己実現の2年間」。
4位・内間拓馬(投手・亜細亜大)と共に、存在感は地味でも、プロで「名前」が大きくなる実力派。2人とも、球威は十分プロ級だ。気持ちで投げていくタイプだけに、気持ちが前に出過ぎないとよい。たぎる思いの“半分”は軸足に残しながら……それぐらいでちょうどよい。
エース・則本昂大にちょっと翳りが見えた今季。せっかく先発の一角に据えた松井裕樹を、シーズン終盤はリリーフでも起用せざるを得ないほど、「ブルペン」も逼迫していた。
ルーキー頼みというのも、チームとしてはあまりめでたい話ではないのだろうが、今回のドラフトの「上から4人」、今の楽天にとって、これほど大きな朗報もないのだろう。
【オリックス編】「“高校生”ばかり指名して…」は的外れ
「2年連続最下位のオリックスが“高校生”ばかり指名して、一体どうする!」
そんな声が、数多く上がっていると聞く。
オリックスファンが、チームの行く末を案じて叫ぶ悲痛の声なら、いやいやまったく心配はいらない。むしろ、「快挙!」と喜びたい。