1位・山下舜平大（投手・福岡大大濠高）。2位・元謙太（外野手・中京高）。

 　入札で近畿大・佐藤輝明（内野手）を逃したものの、今年の「オリックスドラフト」は、5年後の「絶対的エース」と「4番バッター」を一挙に獲得した記念すべきドラフトと位置付けたい。

　今年は「高校野球」にまつわる行事が一気に消えた。選手たちは、その素質と実力を発揮する場を失い、ファンも選手たちの腕前と器を感じられる機会に恵まれぬまま、ドラフトを迎えた。

“超”の付く「大器」で間違いない

　インターネットなどには、ずいぶんと「選手紹介」の記事が流れたが、やはり“実物”を見ていないから、いくら「すごい！」と報じられても、実感が伴わない。要するに、選手たちの“輪郭”がわからないままのドラフトとなった。

　しかし、この山下舜平大というヤツは、とんでもないのだ。すでに、いくつものメディアで、その「とんでもなさ」をお伝えしているので、耳にしている方も多かろうと思うが、“超”の付く「大器」で間違いない。

　そこまでとは知らず、9月に福岡大大濠高グラウンドのブルペンで、その全力投球を捕球した。いや、とんでもないボールだった。立ち投げからして、おっそろしいボールだった。「まいりました……」と、謝って帰っちゃおうかと思ったほどだ。

　速い、強い、重い……しかも、手元で勝手に動く。本人、「何球かは150いったと思います」とサラッと言っていたが、それだって、余力を残してだ。

　まだ下半身の動きと上体の動きとのタイミングがとれないことがあるから、下半身を強化して上・下のバランスが合ってきたら、笑いながら160キロぐらい投げてしまうだろうし、それはそんな先のことじゃない。私は「2年目」のどこかだと踏んでいる。 

　カーブが、またエグい。  

　大谷翔平（エンゼルス）の、あの真横に吹っ飛ぶようなスライダーをタテに折り曲げたようなカーブ。最初のカーブは、アッと思ったら地面に突き刺さって、こちらのミットにかすりもしなかった。高校では、カーブ以外の変化球は止められていたが、フォークとチェンジアップの練習はちゃんとしているという。

　いずれ、「世界最速」を競うような存在になって、きっと＜向こう＞に行ってしまうのだろう。

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