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1383億円を10年でドブに捨てたマンU 器の小さいスールシャール&電話に出ない強化担当への疑問符
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/11/12 06:00
クラブのレジェンドであるスールシャール監督。マンチェスター・ユナイテッド再建は彼をもってしても無理なのか
若手の登用はユナイテッドの伝統なのだ
若手の登用は、ユナイテッドの伝統でもある。
古くはサー・マット・バズビーが、ボビー・チャールトン、ダンカン・エドワーズ、ジョージ・ベストを育てた。記憶に新しいところではサー・アレックス・ファーガソンが、ポール・スコールズ、デイビッド・ベッカム、ライアン・ギグスなど、いわゆる“ファギーズ・フレッジリングス”(ファーガソンのひな鳥たち)を超一流に磨き上げた。
バズビーはミュンヘンの飛行機事故で多くのタレントを失い、ファーガソンも「若造だけで何ができる」と各方面から批判されたが、両名は決してブレなかった。
4-2-3-1にこだわったかと思えば、CLで活躍したトゥアンゼベをプレミアリーグで使わなかったり、就任後およそ2年が過ぎても明確な方向性を示せないスールシャールとは、天と地ほどの開きがある。
フェルナンデス、ポグバに頼りすぎでは
せっかくの才能が花開くのか、それとも芽を摘んでしまうのか、すべては監督次第だ。スールシャールはブルーノ・フェルナンデスに依存し、ポール・ポグバを過信している。
彼らのコンディションが優れない場合は休養を与え、リフレッシュさせるのも監督の仕事。ベッカムとともに一時代を築いたガリー・ネビルも証言する。
「サー・アレックスに突然『明日は休め』と言われた選手は少なくない。最初は意味が分からなかった。体調が悪いわけではなかったからね。でも、サー・アレックスは長いシーズンを踏まえ、選手たちの健康管理を怠らなかった。スールシャールにも見習ってほしい」
8節のエバートン戦は3-1の勝利を収めたものの、ブルーノ・フェルナンデス(2ゴール・1アシスト)に助けられただけだ。スールシャールは、いまだに明確な戦略・戦術を構築できていない。
地元紙の『マンチェスター・イブニングニュース』も、「マウリシオ・ポチェッティーノのエージェントと接触」と報じているのだから、近日中に新体制が発足する可能性は十分にある。