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永里優季インタビュー 男子サッカーの中で感じる「強み」、価値観が変貌した米国生活とは
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKyodo News
posted2020/11/05 11:00
はやぶさイレブンで笑顔を浮かべながら練習する永里。今の自分に充実感を得ているようだ
社会にとって意義のあるものに
――男子サッカーへの挑戦に関して、10年前に漠然と思い描いていたときと今とでは、挑戦に込められた思いや意味は変わってきていますか?
「だいぶ変わりました。選手として高いレベルで通用するようになることを目指して、ずっとやってきたんですけど、それをある程度達成した今、じゃあ、次にどういうチャレンジをするのかと考えたとき、女子のカテゴリーに限定すると、高いレベルって限界がありますよね。
だから今回、男子サッカーという異なるカテゴリーでチャレンジしていて。それはもちろん、自分自身がやりたいから、というのもあるんですけど、それ以上に、チームにとって価値のあることだったり、社会にとって意義のあるものになっていないと、やり甲斐が湧いてこなくなっているんです。だから昔は『自分が』という部分が強かったんですけど、今はもう少し広く見られるようになってきたのかな、と思います」
自分自身、チャレンジとも思ってなくて
――社会にとっての意義とは、どういうことですか?
「新しいことを始めるときって、どうしても最初の一歩が踏み出せなかったり、やりたいと思っても、なかなか実行に移せなかったり。そういう人に対して、私のアクションが後押しや勇気になるといいな、っていう思いがあります。私は言葉で伝えるのが得意じゃなくて、社会的なメッセージを強く主張することは、あまりしたくない。思いを行動に込めて表現して、それを、いろんな方がそれぞれの捉え方をしてくれればいいかなっていうスタンスなんです。そういう意味では、自分自身、チャレンジとも思ってなくて、ひとつの選択肢として今、やっているという感覚なんです」
――じゃあ、サッカーに限らず、留学したり、起業したり、そうしたことへのヒントや後押しになればと。
「だから、海外でやり続けていることもそのひとつなんです。もっと海外に目を向けてほしいなって思っているので」