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永里優季インタビュー 男子サッカーの中で感じる「強み」、価値観が変貌した米国生活とは
posted2020/11/05 11:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Kyodo News
男性の中でプレーする女子サッカー選手――人々の価値観をアップデートするような行動を取っている永里。男性とともにサッカーをプレーするために、どのようなことを考え、何を積み上げてきたのか? 全3回(#2、#3はこちら)にわたるインタビューで解き明かしていく。
――面白い記事を見つけました。2010年2月の『サッカーダイジェスト』に永里さんのインタビューが載っているんですけど。
「ずいぶん昔の記事ですね。ポツダム(ドイツ1部)に移籍してすぐの頃だ」
――インタビューの最後に「目標であった海外移籍を実現されました。次なる大きな目標はなんでしょうか?」と聞かれ、「言わないとダメですか? 本当に高い目標なんですよ」と答えた永里さんは「う~ん。たぶん10年後ですよ、この目標が達成されるのは。もっと早まるかもしれませんが」と話したあと、「チームとして目指すべきものはありますけど、それとは別ですね」と語っていて……。
「で、結局、明かしていませんね(笑)」
10年前から漠然と思っていたのかも
――そうなんです。でも、これって男子サッカーへの挑戦について語っているんじゃないですか?
「あー。正直、覚えてないんですけど(笑)、そうなのかもしれない。その頃から漠然と思っていたのかもしれないです」
――しかも、ちょうど10年後じゃないですか、今。
「本当ですね(笑)。これは、繋がっているかもしれない」
――いろいろと話を伺う前に、サッカーファンの間でも誤解が生じているようなので改めて。今回の神奈川県2部のはやぶさイレブンへのレンタル移籍と、来年からの移籍について確認させてください。アメリカの女子リーグ(NWSL)は春秋制なので例年9~10月にシーズンが終わる。その後のオフ期間を利用して男子サッカーに挑戦していると。もともと年明けにアメリカに戻ることは決まっていて、戻る場所がこれまでのシカゴ・レッドスターズではなく、トレードによって新規参入のレーシング・ルイビルになった、ということですよね。
「そうなんですよね、それがなんで誤解されてしまったのか」