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原辰徳監督、“デラロサ9回2死降板”の真意 「次の戦い」へ重圧の中でしか試せないこととは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/10/23 11:45
デラロサは絶対的な守護神ではあるが……(写真は7月5日中日戦)
原監督が、次の戦いを意識して動き出したと感じた瞬間
「また明日、頑張ります」
試合後の監督会見で原監督はいつもこう語って会見を締め括ってきた。
今日が終われば明日の戦いがあるのみ。
そこには2月のキャンプで語った通りに「リーグ優勝」以外に、見定める目標はなかったからだった。
だが、である。
いよいよ巨人が、原監督が、次の戦いを意識して動き出したと感じた瞬間があった。
10月20日の神宮球場でのヤクルト戦だ。
デラロサに替えて左の大江投手を投入
優勝へのマジック7となって迎えたこの試合は、先発の戸郷翔征投手が6回まで自己最多の134球を投げて3安打無失点と好投。打線はヤクルト先発の高梨裕稔投手に苦しみながらも、6回に坂本勇人内野手のタイムリーで先制し、その虎の子の1点を守って試合は9回へと突入した。
マウンドに上がった守護神のルビー・デラロサ投手が先頭の中村悠平捕手に四球を許し、送りバントと西浦直亨内野手の右前安打で一、三塁とされる。しかし1番の廣岡大志内野手を2ボール2ストライクから132kmの外角スライダーで空振り三振に仕留めて2死とした場面だった。
巨人ファンが「あと1人」と思った瞬間に原監督が動いたのだ。
打席に青木宣親外野手を迎えると、デラロサに替えて左の大江竜聖投手を投入したのである。
昨シーズンのデラロサ対青木は2打数2安打1本塁打と打たれている。
ただ、今季は8月27日の試合で三塁へのライナーに打ち取った1打席のみ。青木に関して言えばこの時点で対左投手には打率3割2分5厘。一方、右投手に対しては3割8厘と、いずれも高い数字を残しているものの、それでもむしろ左投手の方をより打っているデータもあった。