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【引退】高橋朋己を忘れるわけがない…太く、短い8年間 西武の低迷期を支えたあの働き
posted2020/10/22 11:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Seibu Lions
10月20日、ライオンズの高橋朋己が引退を発表した。プロ生活は8年間。本人が大切にしてきた信条「太く、短く」の通り、一軍での実働年数は短かったかもしれないが、鮮明で色濃い、忘れられない記憶をライオンズファンに残した。
「(ここ数年は)野球選手として仕事をしていなかったので、それだけは悔いが残りますけど、楽しかったです」
すっきりとした表情での記者会見となった。
開花したのはプロ2年目
高橋は2013年、ドラフト4位で西濃運輸からライオンズに入団した。1年目は一軍で24試合に登板。その年の8月にプロ登板を飾ると、その後もピンチでマウンドに上がり、幾度もチームの窮地を救った。
高橋の能力が大きく開花したのはプロ2年目だ。ライオンズのクローザーとしてリードを奪った9回に登板し、チームの勝利に貢献した。登板数は63試合にのぼった。圧巻だったのはそのピッチング内容だ。62回3分の2イニングスを投げて、奪った三振は80個。左打者はもちろん、右打者の内角に食い込む150km超えのストレートで相手バッターをねじ伏せた。
続く2015年にも62試合に登板し、初めてのオールスター出場も経験。左のスリークウォーターから繰り出されるストレートは、ストレートが来ると読んだ打者でも、振り遅れるほどの威力だった。
しかし、その後は故障に苦しむこととなる。