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「ロッテに弱い」ソフトバンクの反撃 “アクシデント続き”東浜巨が急に勝ちまくっているワケ
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2020/10/14 17:35
10月10日のロッテ戦、8回1失点と好投した東浜と捕手の甲斐。これで自身は先発で5連勝となった
5対1。盤石の試合運びだった。2回裏に松田宣浩の先制二塁打に続き、次打者の栗原陵矢が初球を右中間のホームランテラス席へ14号2ランを運び3点を先行すると、3回裏にも柳田悠岐のタイムリーですかさず4点目を奪った。
つかんだ勝負の流れを手放すものかという、ホークスナインの執念が伝わってくる見事な攻撃に地元福岡のファンも大満足。ただ、この試合の勝負を支配したMVPを挙げるならば、8回1失点とマリーンズの勢いをかき消す快投を見せた、東浜巨だろう。
5回2アウトまでは無安打無失点投球。東浜本人も「反省」と口にした2回と4回の先頭打者への四球は正直嫌な予感もしたが、いずれの場面も併殺打でピンチを乗り切ったことで逆にホークスが活気づく結果となった。
もちろん東浜は勝ち投手となり今季7勝目。特筆すべきは9月10日のイーグルス戦から5登板連続で先発5連勝を飾っている点だ。
東浜を襲った“アクシデントの連続”
今季は自身初の開幕投手を務めたが、シーズン序盤はアクシデントの連続だった。開幕前最終調整の練習試合で左太ももに打球が直撃。さらに7月17日のバファローズ戦でも今度は右足に痛烈な打球を当たった。7月31日のライオンズ戦では投ゴロ処理の際に右手の指を地面について早期降板。8月26日には頸椎に張りが出て出場選手登録を抹消された。
東浜にとって今季は復帰シーズンだ。昨年は6月に右肘の手術を行い、シーズンの大半を棒に振っていた。「今年は1年間ローテを守りたい」とずっと口にしていただけに、悔しい戦線離脱だった。しかし、その復帰戦が前述した9月10日のイーグルス戦だ。そこから負けなしどころか、勝ちっぱなしで来ている。
東浜自身もその要因が分かっていた。
「今はどんな試合やどの相手でも、同じ緊張感で臨むことができています。その緊張感も楽しめているかなと思います」
「あの雨の日の仙台で……」
ここ最近の東浜のマウンドさばきを見ていると、迷いが感じられない。非常にテンポよく次々とボールを投げ込んでいる。
「リズムは意識しています。あの雨の日の仙台で、少しつかんだところがありました」