欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
アンチェロッティとハメスの魔法でエバートン4連勝 “インザーギ的”点取り屋が覚醒か
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/10/13 20:00
ハメス・ロドリゲスらが加わったエバートン。智将アンチェロッティのもとで“隣人”リバプールに一泡吹かせられるか
ハメスの魔法で攻撃がレベルアップ
新レギュラーの有力候補はロビン・オルセンである。ローマでは環境に馴染めず、なおかつイタリア語の習得に手間取ったため精彩を欠いたが、彼の祖国スウェーデンは幼少期から英会話を学ぶ。エバートンでは意思疎通を図れる公算が大きく、もともと確実性が多方面で高く評価されたGKだ。
「私は勝つためにエバートンにやって来た」(オルセン)
移籍市場における最大のヒットは、ハメス・ロドリゲスの加入をおいて他にない。今シーズンは右サイドを主戦場とし、開幕4戦4連勝の原動力になっている。左足から繰り出されるパスは魔法のように美しく、昨シーズンまで単調すぎたエバートンの攻撃に華を添えている。
ハメスの恩恵を与るリシャルリソンはこう言った。
「ハメスにボールが渡った瞬間に動き出すと、“さぁ、決めてくれ”といった絶妙のパスが届くんだ。俺はミートさえすればいい」
受け手が何を求めているのか、ハメスは瞬時に察知できる。しかもボールホルダーに近づき、フリーの状態でパスを受けてもいる。ハメスがボールを持つとエバートンにスイッチが入り、多くのパスコースが生まれる。相手ペナルティボックス付近では青いユニフォームが躍動する。エバートンの攻撃は格段のレベルアップを遂げた。
ルーウィンが目覚めた「駆け引き」
ドミニク・キャルバート・ルーウィンも、ハメスの魔法に酔いしれるFWのひとりだ。4節終了時点で6得点。2節のウェストブロムウィッチ戦ではハットトリックを達成した。
今シーズンの彼は前線の中央にデンと構えているケースが非常に多い。もちろん、プレスをサボったりせず、第1DFの任務も黙々とこなしつつ、だ。
「ゴール前ではワンタッチプレーを心がけ、むやみやたらとボールを追わず、最終ラインと駆け引きするように、と監督に指示されている」(キャルバート・ルーウィン)
昨シーズンまでは無駄走りも多く、天性のスピードと187cmの長身がサイドに流れるケースも少なくなかった。しかし、今シーズンはアンチェロッティのアドバイスを実践し、開幕からゴールを重ねている。