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アンチェロッティとハメスの魔法でエバートン4連勝 “インザーギ的”点取り屋が覚醒か
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/10/13 20:00
ハメス・ロドリゲスらが加わったエバートン。智将アンチェロッティのもとで“隣人”リバプールに一泡吹かせられるか
クーマンやM・シウバらも結果を出せず
その間、プレミアリーグはマンチェスター・ユナイテッドとアーセナルがエバートンを歯牙にもかけず、激しく競り合う時代が続いた。経済力豊かなオーナーが率いるチェルシーやマンチェスター・シティにもあっさり抜かれた。ローカルライバルのリバプールは、我が世の春を謳歌している。
さらに近年は、ウォルバーハンプトンやシェフィールド・ユナイテッド、レスターなどの後塵も拝する始末だ。
期待の新戦力が、負傷で長期の戦線離脱を余儀なくされたことがあった。ビル・ケンライト会長とオーナーのファルハド・モシリが権力争いを繰り返した。ロナルド・クーマン、サム・アラダイス、マルコ・シウバと、ここ三代の監督は揃いも揃って何もできなかった。好成績を収められるはずがない。
アンチェロッティが図った中盤の守備力向上
傷ついた古豪にカルロ・アンチェロッティがやって来たのは、昨年12月のことだ。
M・シウバ前監督によって秩序が崩壊していたため、さしもの名将も短期間では立て直せなかった。アーセナル、ウォルバーハンプトン、ボーンマスに3失点、チェルシーに4失点……。堅守を誇るアンチェロッティらしからぬ大量失点も目についた。
だからこそ今年の夏は、ボール奪取能力にすぐれるアブドゥライ・ドゥクレ、豊富な運動量で幅広いエリアをカバーするアランを獲得。中盤の守備力向上を図った。
近代フットボールのCBに求められる繊細なボールタッチと高度な戦術眼を併せ持つ、ベン・ゴドフレイも補強した。彼ら3人はアンチェロッティのリクエストによるもので、強化担当の迅速な動きも高く評価できる。
問題はGKである。ジョーダン・ピックフォードは見限るべきだ。
5-2の勝利を収めたフリートウッド戦(リーグカップ3回戦)でも失点につながるミスを犯し、4節のブライトン戦でも難しくはないシュートをファンブルした。軽率なミスはいまに始まったことではなく、昨シーズンもクロスに飛び出して触れなかったり、誰もいないエリアに適当に蹴ったり、終始不安定だった。