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池江璃花子が初めてのインカレで見せた涙のワケ 「恥ずかしかった」復帰戦を越えて見つけたもの
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byHiroyuki Nakamura
posted2020/10/08 17:01
初めてのインカレで確かな手ごたえをつかんだ池江璃花子。自分のペースを大切に泳ぎ続ける
体格が変わったね、肩周りに筋肉ついたね
体つきの観点からも、日進月歩といえるほど変化が出ている。体調をしっかりと把握して慎重に歩みを進めるという基本姿勢は変わっていないが、その中でも8月まで週1回だった筋肉トレーニングを週2回に増やしたことが、見た目の変化につながっているようだ。
「自分だと正直わからないけど、前回会った時よりも体格が変わったねとか、肩周りにすごく筋肉ついたねとか、そんなふうに言われることが今回すごく多かった」とうれしそうな表情を見せる。
第2の人生として、自己ベストを出した
泳ぎの感覚とタイムや順位が合致するようになってきたこともポジティブな要素だろう。50m自由形の決勝レース中、池江は基本的に周りを見ていなかったというが、最後に一瞬だけ横を見たときの状況から予測していたのは、「メダルは厳しいかな」ということだった。
「だから順位は予想通りでした。4番は悔しいけど、泳いでいた感覚と順位は同じでしたね」
今の池江は、泳ぐたびに見えるものが増え、感じる幅が広がっているようだ。それは、レース後のコメントに、素直な揺らぎが垣間見えることからも伝わってきた。
「4番という結果は正直すごく悔しいですけど、今の段階としては、上出来すぎるかなという感じです」
「(シーズン)ベストは確実に出ると思ってはいましたが、思ったよりもちょっと速いタイムだったので驚きでした。でも、自己ベストからはまだ1秒以上遅れています」
「今は今でシーズンベスト。第2の人生として、自己ベストを出したという満足感もあります」