Number ExBACK NUMBER
「旦那ありきの世界で楽しんでいる感覚でした」馬淵優佳27歳が激動の1年で見つけた“自分の世界を楽しむ生き方”
posted2022/03/28 11:02
text by
田坂友暁Tomoaki Tasaka
photograph by
Yuki Suenaga
「本当に学びしかない1年でしたね。競技しかやってこなかった、自分を中心に見ていた世界とまたちょっと違う、いろいろなものが見えるようになった年でした」
「自分の居場所が家庭にしかない」
2021年は馬淵優佳にとっては、自分の気持ちにも、環境にも様々な変化があった、まさに激動の1年だった。「1年が1カ月に感じる」。はじめて人に取材をする立場になって、伝える側の経験もした。女優業やバラエティーも含め、スポーツとは別のチャレンジもできた。それらの経験によって、「私が今まで過ごしてきた世界は、どれだけ狭かったのだろう」と大きな気づきを得た。
仕事を通して出会った方々は、家事も育児もやりながら、自分がやりたい仕事にも全力を注いでいた。そういう生き方をしても良いんだ、ということに衝撃を受けた。
何の疑いも持たず、自分自身すらそれが正しいと信じ続けてきた、アスリートの馬淵優佳という生き方、アスリートを支える馬淵優佳という生き方、そして母親としての馬淵優佳という生き方が、良い意味で崩れ去った瞬間だった。
「ずっとスポーツ選手としてやってきて、すぐに結婚して夫を支えると決めて家庭に入りました。だから、どこか社会に出ていない、ということにコンプレックスもありましたし、自分の居場所が家庭にしかないな、と感じることもありました」
「馬淵優佳の生き方」を決めつけている自分がいた
結婚したら夫を全力で支え、子どもにすべてを捧げることが当たり前のことだと思っていた。事実、馬淵の母は父である崇英コーチを支え、馬淵自身の選手生活を全面的にサポートし続けてくれていた。
「それが私にとっての母親像だったんです。だから、結婚して子どもができたら自分もそうしないといけない、という考えを持っていました」