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「瀬戸大也に五輪に出る資格はない」は的外れ…スポンサーを失った“競泳エース”の今後とは?
posted2020/10/07 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
余波はとどまることを知らない。
競泳の瀬戸大也を巡り、今回の女性問題を受けた影響が次々に生じている。
9月30日、所属先であったANAとの契約が解除となり、日本オリンピック委員会(JOC)のシンボルアスリートも辞退。その他のスポンサーとの関係も損なわれることとなった。
また、東京五輪競泳日本代表の主将について辞退を申し出ていたが、10月6日に開催された日本水泳連盟の常務理事会で承認された。さらに、出場を予定していた全日本短水路選手権(10月17・18日)の辞退届も会議で承認された。
理事会後、日本水泳連盟はコメントを出している。
「報道を通じての一連の行為は水泳トップ選手として大変に遺憾であると共に、ご家族はもとより多くの水泳ファンの皆様、関係者の皆様の信頼を裏切った責任は大変に重いと考えております」
そしてこのように結んでいる。
「ついては本連盟・倫理委員会において直ちに本人の事情聴取を実施致します。また上記の事情聴取に加えて、新たな事実等の把握、確認を含めて処分等を検討してまいります」
順風満帆だった瀬戸の競技生活が一変
瀬戸は、競泳の主軸となるはずの選手だ。
昨年の世界選手権では200m・400m個人メドレーで金メダルを獲得、連盟の定めた規定にのっとり、競泳ではただ1人東京五輪代表の切符を手に入れた。同大会では200mバタフライでも銀メダルを獲得。1大会の個人種目で3つのメダル獲得は日本選手史上初の快挙であった。
他の競泳選手に先んじての代表内定は、大舞台に向けて腰を据えて準備する態勢ができたことを意味していた。
順風満帆だったはずの足取りは、新型コロナウイルス感染拡大で乱れることになった。集大成としていた東京五輪が延期されたのだ。
「正直、自分を見失っていて、何を目指したいのか、分かっていません」
8月初旬の言葉が、目指していた大舞台が遠ざかったことへの葛藤を物語っていた。
その上での、今回の出来事だ。
それは競技生活を一変させた。