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巧い、強い! フロンターレ前半戦ゴラッソ・コレクション5選【ポイント図付き】
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2020/10/02 20:00
浦和戦で鮮やかなボレーシュートを叩き込んだ山根視来。家長昭博の浮き球パスも“オシャレ”だった
家長→山根のボレーに脇坂あり
<第17節浦和戦:山根視来>
山根視来のダイレクトボレーは、圧巻の一言である。
ただそれまでの崩しも、実に鮮やかだ。起点は大島僚太である。このゴールは彼が柏木陽介をかわし、かつボランチのエヴェルトンを引きつけながら左サイドに運んだところから始まっている。そして、もう1人のボランチである柴戸海もカバーリングに動かしたことでバイタルエリアでフリーになっていた選手がいる。脇坂泰斗である。
実は脇坂は、去年の埼玉スタジアムでこの位置で柴戸をターンで交わしてミドルシュートを決めている。ここでミドルという選択肢もあったはずである。家長昭博へのパスを選択しているが、それは相手の出方を見て判断したことを明かしている。
「ファーストタッチで前向きにボールを止められました。セカンドタッチで相手を食いつかせるというか、食いつかなかったなら自分で打とうと思っていました。セカンドタッチで槙野選手が自分に食いついて、アキさん(家長昭博)がフリーだった」
つまり、ツータッチ目で槙野智章が対応に出てきたので、シュートではなくパスに切り替えていたというわけだ。もし、相手が前に出てこなければ、そのまま撃ち抜いていたはずである。
「リラックスして打つことが」
ボールを受けたのは家長昭博。シュート、パス、ドリブルといくつかの選択肢があった中で彼が選んだのは、パス。それもまさかの浮き球だった。予測を裏切られたであろう浦和守備陣がボールに反応できない中、信じて走り込んでいたのが山根視来だった。
「外にアキさんが張ってたので、ヤストがドリブルした時に、中でどうサポートしようかなというところを考えていて、アキさんに入った時にあそこにスペースがあったのが見えたので。下だったらパスは通ってなかったと思いますが、ああいうボールをアキさんは出せる人なので。ちょうどいいところにボールを出してくれたので、リラックスして打つことができました」(山根視来)
湘南に在籍していた2019年も埼スタで劇的なゴールを決めている男が突き刺した、豪快なダイレクトボレー。相手の出方で判断を変えながら、かつ予測できない崩しを見せて、最後は高い技術で仕留める。敵将も脱帽する一撃だった。