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巧い、強い! フロンターレ前半戦ゴラッソ・コレクション5選【ポイント図付き】
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2020/10/02 20:00
浦和戦で鮮やかなボレーシュートを叩き込んだ山根視来。家長昭博の浮き球パスも“オシャレ”だった
もちろん真打・憲剛の復帰ゴールも
<第13節清水戦:中村憲剛>
シーズン前半を振り返る上で、中村憲剛のゴールはやはり外せないだろう。
301日ぶりとなった復帰戦。39歳のバンディエラが心がけていたのは、サッカーを謳歌するということだった。
「ピッチに入るまでは、いろんなことを考えていました。自分が良いプレーできなかったらどうしよう、チームの足を引っ張ったらどうしようとか考える時間もありました。でも、あの瞬間、ただただ楽しもう。等々力でのプレーを楽しみたかった。サッカー選手としての自分の時間が帰ってきたこともすごく感じました」
そこで見せたのは、芸術的なループ弾。技術的にも「お見事」としか言いようがない一発だが、それを生んだのは、彼ならではの観察眼だろう。いかに自分にボールを引き寄せるのか。そこは試合前に描いていた狙いの1つだったとも明かしている。
「どうやってボールを奪うかに集中して、ポジショニングや読み……点を取った時もそういう隙を突くじゃないですけど、課題の1つにあげて入りました。それも楽しんでやれたかな」
相手GKにボールが渡ると、すぐに守備に切り替えた。始まった相手のビルドアップを阻害すべく、味方と連動して猛然と圧力をかけに行っている。
「大久保選手から岡崎選手にボールがいって、カオル(三笘薫)がプレッシャーをかけた。自分も連動して、ボランチの選手のコースを切ろうとした。たぶん自分の姿が目に入って、パスを出そうと思った足に当たったのだと思う。それでボールが自分の前に転がっていた」
「ミスもあったし、また練習します」
やや軽率だった相手のボールコントロールがあったのは事実だが、そのミスを誘い、見逃すことなくゴールという結果に結びつけたのは中村自身の力である。目の前に溢れてきたボールをダイレクトで優しく合わせると、綺麗な弧を描いてゴールネットに吸い込まれていった。あまりに出来すぎた復活劇だが、そうやって等々力での約15分を堪能し続けた。
「1分1秒が惜しいような……もう終わっちゃったという思いもあった。負荷も含めて、完璧な15分間だったと思う。ただミスもあったし、ボールを奪い切れないところもありました。そこは課題です。またしっかり練習します」
試合で得た課題を口にして次に向かう言葉を並べる姿に、いつものケンゴが戻ってきたのだと実感した。