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巧い、強い! フロンターレ前半戦ゴラッソ・コレクション5選【ポイント図付き】
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2020/10/02 20:00
浦和戦で鮮やかなボレーシュートを叩き込んだ山根視来。家長昭博の浮き球パスも“オシャレ”だった
チョン・ソンリョン→小林悠で仕留める
<第10節札幌戦:小林悠(5点目)>
多彩な崩しが多い川崎のゴールシーンにおいて、ロングボール1本でフィニッシュに持ち込んだこの力業は、やや異質だ。この場面では、チョン・ソンリョンからのフィードを胸でコントロール。宮澤裕樹のコンタクトにも動じず、次の瞬間には鋭いターンで菅大輝をかわして置き去りにした。
「自分は背があまり高くないので、相手に体をぶつけながらキープしようかなと思ってたんですが、いいところで胸トラップができました。2タッチ目で、相手の間にクイッと入れた。コンディションの良さも感じられましたし、シュートも落ち着いて決められた。いいゴールだったかなと思います」(小林悠)
身体が切れている状態の小林は、相手と競り合いながら胸トラップした際にシュートに持ち込む動作が極めてシャープで、それを示す一撃だったとも言える。
ジュニーニョ越えのパフォーマンス
ただ、より印象深いのは、決めた後の光景かもしれない。小林は天に向かって指を差す儀式をしている。
「ジュニーニョを越えたときにやろうと決めていたパフォーマンスです」
試合後の小林は、少し照れ臭そうにしてそう明かした。これは若手時代に「師匠」として慕っていたFWジュニーニョのお馴染みのゴールパフォーマンスでもある。彼の記録していたクラブ通算得点数110を抜き、単独の最多得点者となったことで、それを披露したというわけだ。思えばジュニーニョもよくグループとして連動した崩しではなく、個の力でシュートまで持ち込んでゴールを決めていたものである。
「いろんなケガだったり苦労もしてきましたが、ずっと貪欲にゴールを目指してやってきたのがフロンターレでのジュニーニョ超えにつながったと思っています。今日みたいに、ベテランと言われても、ギラギラしてゴールを目指して、相手にとって嫌な選手でいられるようにこれからも頑張りたいなと思ってます」
ジュニーニョが退団する時にかけてもらった「チームが苦しいときにゴールを決めるストライカーになれ」という言葉は、小林の心に今も深く刻み込まれている。師匠超えによって、自分の大事な心構えを思い出すメモリアルにもなったに違いない。