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「自分ももう27歳なので…」千葉ジェッツ富樫勇樹が明かすキャプテンを引き受けた理由
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2020/09/26 11:50
今季は司令塔のみならず、キャプテンとしてもチームをけん引していく
そして、1月に駒沢体育館で行なわれたアルバルク東京戦には、その井上とラグビー日本代表の松島幸太朗を招待した。
「正直なところ、他のスポーツから何かを学ぼうというような気持ちがあるわけではなくて。『あの選手は、どういう気持ちでこの試合に臨んでいるのかな?』というようなことを考えながら試合を見たこともないですし。アスリートとしてではなくて、普通の、一般の人として見ている感じです。オリンピックなども、昔から、よく見るんですよね」
他の競技を研究対象としているわけではないから、背景や細かい戦術まで理解しているわけではない。ただ、それでも楽しめるものがスポーツにはあると富樫は感じている。
「細かいルールはわからなくても、ある程度までは、わかるじゃないですか? 例えば、バスケットボールでもトラベリングやファールについての細かいルールはわからなくても、『おおまかには2点と、3点のシュートがあって、点数を多く入れた方が勝ちなんだな』というのはわかりますよね。僕も、ルールに詳しくないスポーツはそんな感覚で見ています。それでも、すごく面白いですけどね!」
「スピードです!」
そんな富樫だから、今シーズンの千葉の魅力については端的に表現する。
「スピードです! 身体の大きなセンターの選手も含めて、チーム全員がしっかり走れるので。そこが楽しさだし、千葉ジェッツの良さだと思います」
アグレッシブな守備からボールを奪い、相手ゴールに向かって走る。いわゆるトランジションを武器にするバスケットボールに、大野篤史ヘッドコーチ(HC)が就任以来、取り組んできた。2020-21シーズンで5シーズン目を迎える。
ただ、今シーズンはこの5年間の中で、最もスピードのあるチームになるかもしれない。新たに、佐藤卓磨、赤穂雷太、セバスチャン・サイズ、シャノン・ショーターの計4人が加わり、大野も胸を張る。
「トランジションにもっと磨きをかけていくために、走れる人間で、なおかつ、泥臭くボールを追いかけてくれる人間が来てくれました」
そこまで詳しくない人でも惹きつけられるようなバスケットをするのが千葉であり、そのチームをPG(ポイントガード)として引っ張るのが富樫である。
「自分ももう27歳なので……」
富樫は先日のインタビューで、リーグで期待されている若いPGについて聞かれたときにこう話していた。