Number ExBACK NUMBER
「自分ももう27歳なので…」千葉ジェッツ富樫勇樹が明かすキャプテンを引き受けた理由
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2020/09/26 11:50
今季は司令塔のみならず、キャプテンとしてもチームをけん引していく
「(昨シーズンは特別指定選手としてプレーした)河村(勇輝)選手だったり、(テーブス)海選手は、かなりのポテンシャルがある選手だと思うので、すごく楽しみです。でも、彼らが主役を張るころには僕も30歳くらいになっていて、『イイ歳』なのかなと(笑)。自分は何歳までプロでやりたいとかはもちろん決めていないです。ただ、僕が22、23歳だったらライバルということになるかもしれないけど、もう27歳なので。むしろ、若い選手にどんどん出てきて欲しいなという気持ちのほうがあるかな」
そんな本音をもらしていた富樫だが、実は同学年のなかにはすでに名実ともにリーダーを任されている選手が多い。
昨シーズンは、同じ年齢の選手では、ベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)、田渡凌(当時横浜ビーコルセアーズ、現広島ドラゴンフライズ)、田代直希(琉球ゴールデンキングス)らがすでにキャプテンを任されていた。
なぜ富樫がキャプテンに指名されたのか
そして、富樫も今シーズン初めてキャプテンを任されることになった。
大野HCは、大役を任せた理由をこう明かしている。
「プレー・リーダーとして5年間、引っ張ってもらってきました。今年はもう27歳です。チームには雷太や卓磨などの若い選手も増えて、世代交代もしていかないといけないところで、勇樹にはプレーだけではなくチームリーダーとして、内外で発信していってほしいなという想いがあって、指名しました」
富樫はキャプテンについて、こう語った。
「コートにいるときは今までも、同じことを伝えてきたつもりではいるんですけど、これで、自分のことだけではなくチームをより(深く)、見れるようになるのかなと思います。そういうチャンスでもあるので、しっかりとこの機会を成長につなげられれば」
ただ、キャプテンになったからといって、特別に細かいことを言うわけでもないし、リップサービスをするわけではない。目標はいたって、シンプルだ。
「色々なことを言ったり、言われてきたりしましたけど、2年続けてファイナルまで行ったけど優勝できず、昨シーズンは中止になってしまった。だから、今シーズンは何がなんでも、優勝! そこだけに集中してやっていきます」
マニアックなプレーを売りにするわけでもなく、細かい目標を掲げるわけでもない。
超高速バスケで、何としてでもリーグ優勝を。
そのわかりやすさはマニアだけではなく、新規のファンをも温かく迎えてくれるジェッツとBリーグの姿勢そのものだ。
そして、スポーツの本質を愛する人間として、富樫は、自らのプレーと言動でバスケットボールというスポーツの魅力をこれから示していくことになる。