伊勢も言うように最大の魅力は150キロオーバーのストレートだ。サイドアームから繰り出される角度のある真っすぐは、シュート回転しながら吹き上がるようにミットに収まる。

「シュート回転はよくないと言われることもあるんですが、僕の場合は持ち味としてとらえています。とくに右バッターから見ると外から内に鋭く入ってくるので、タイミングをずらしたり、見送らせることができていると思います」

　己の特性をよく知り、どのようにピッチングをすべきなのか自分で考えることのできるクレバーさが伊勢にはある。そこに加え、ブルペン陣ばかりではなく心強い多くのチーム関係者からもプロで通用するための教えを乞うている。

平良拳太郎、戸柱恭孝からのアドバイス

　プロになって一時期、打者への対応に困り変化球が投げられなくなったことがあったというが、そこは川村丈夫と木塚敦志の両ピッチングコーチから指導を受けた。

「フォークは指に掛ける感覚や握り、スライダーは抜けるような感覚で投げると曲がらないと指導を受けたり、意識的な部分でアドバイスをもらって改善していますね。ちょっとした一言が自分の力になっています」

　またタイプは違うが、同じ右のスリークォーターである平良拳太郎からは投球術を訊いた。

「よく話す機会があって、スライダーの投げ方とか教えてもらったんですが、やっぱりなかなか難しいですよね……（苦笑）。ただ、あの幅の広いピッチングは武器になると思いますし、すごく参考にさせてもらっています」

　そしてバッテリーを組む機会の多いキャッチャーの戸柱恭孝からは、建設的な言葉や発破をかけてもらっている。

「毎試合、このボールが良かった、次はあの場面でこのボールを使おうとか振り返りつつ意見をくれるんです。僕が今後どうやって投手生活をしていけばいいのか教えてくださるので助かっていますね」

　学びの森は深く、広く、そして肥沃だ。

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