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ネイマール乱闘退場は賛否両論だが……ロべカルやD・アウベスも被害、ブラジルサッカー人種差別史
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/09/21 17:00
今回のPSG対マルセイユの件は、人種差別的な言動が原因で大乱闘になったとされ、調査に入っている
インスタグラムに異例の長文を掲載
試合翌日、ネイマールは自身のインスタグラムに彼としては異例の長文を掲載した。その骨子は、以下の通り。
「昨日、僕は逆上していた。自分を侮辱した男を殴り、そのせいで罰を受けたからだ。僕たちのスポーツでは、暴力、侮辱、罵りがその一部となってしまっている。とはいえ、人種差別を容認することは断じてできない。
僕は黒人だ。黒人の息子、孫にして曾孫だ。そのことに誇りを抱いており、何の引け目もない。昨日、僕は審判に厳正な態度を求めたが、聞き入れられなかった。
僕は(侮辱を)無視するべきだったのだろうか?冷静になって考えれば、そうかもしれない。自分への処罰は受け入れる。しかし、僕を侮辱した者も罰せられるべきだ。
人種差別は、もうたくさんだ。肌の色は、自分では選べない。
僕は、フットボールを通じて、自分のやり方で現実に立ち向かう。
世界にもっと愛を!」
大坂らとともに“闘士”となるべきとの声も
16日、フランスリーグの規律委員会はこの試合で退場させられた5選手への処分を発表。ネイマールには、2試合の出場停止処分(本来は3試合だが、1試合は執行猶予)が下された。そして、「ゴンサレスがネイマールに対して人種差別的な発言をしたかどうかについて調査する」としている。
一方、ゴンサレスの母国スペインのメディアは「口論中、ネイマールがゴンサレスに同性愛者を侮辱する発言をした」と報じている。
ブラジル国内では、ネイマールが初めて人種差別反対の声を上げたことを評価する声がある。「F1のルイス・ハミルトン、NBAのレブロン・ジェームズ、テニスの大坂なおみのように、今後、人種差別反対の“闘士”となるべきだ」という意見もある。
一方で、ネイマールの主張に首を傾げる向きもある。