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レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダンにつきまとう“4つの問題” 「敗北を受け入れるのが監督の仕事だ」 

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ザビエ・バレ

ザビエ・バレXavier Barret

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photograph byMutsu Kawamori

posted2021/05/05 17:00

レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダンにつきまとう“4つの問題” 「敗北を受け入れるのが監督の仕事だ」<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

マドリ―を率いるジネディーヌ・ジダンには、4つの《しかし》がつきまとう

ジダンは考えられないほど大きな権限を

「まだ誰も最高のアザールを見たことがない。ここマドリードで彼はさらに成長するだろう」とジダンは昨夏に語っていた。エデン・アザールこそはジダンが数年前から獲得を熱望した選手だった。マドリーはチェルシーに総額1億6000万ユーロを3回に分けて支払ったと報じられた。この結果、ジダンの復帰以降マドリーが選手獲得に費やした金額は4億ユーロを超えた。

 マドリーの場合、選手獲得は通常は会長の案件である。しかしペレスは言う。

「決めるのは会長で、監督ではない。だが、ジズーは私の友人だ。ふたりで話し合いながら、新しいグループを構築していく」

 これは、今までのマドリーの監督では考えられない権限だ。それがペレスの示した復帰の条件だったなら、ジダンにはピッチ上に限らず、より大きなプロジェクトを指揮する権限が与えられていることになる。

ジダンの意向が反映された移籍の評価は

《しかし》だからこそ膨大な額を費やした移籍へのジダンの責任は大きい。

 復帰以前にクラブが手掛けたDFエデル・ミリタンの獲得を除き、すべての移籍はジダンの意向が反映されたものだが、その評価は芳しくない。

 及第点は左SBとしてマルセロ(15試合)を上回る25試合に出場したメンディ(移籍金4800万ユーロ)と、19歳ながら19試合に出場したロドリゴ(同4500万ユーロ)のみ。GKアレオラは4試合出場にとどまり、シーズン終了とともにパリへ帰っていった。FWヨビッチ(同6000万ユーロ)は出場17 試合、スタメンはわずか4試合で2得点。アザールは16試合で1得点3アシストで、負傷があったとはいえ、まったく期待に応えられなかった。

 ペレスはコロナ禍と経済危機のため、今夏は移籍に投資しないと早々に結論した。新戦力に期待できない以上、ジダンにできるのはグループを維持していくことである。

【次ページ】 ロナウドに他の選手と同様の条件を提示

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ジネディーヌ・ジダン
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