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レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダンにつきまとう“4つの問題” 「敗北を受け入れるのが監督の仕事だ」 

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ザビエ・バレ

ザビエ・バレXavier Barret

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photograph byMutsu Kawamori

posted2021/05/05 17:00

レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダンにつきまとう“4つの問題” 「敗北を受け入れるのが監督の仕事だ」<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

マドリ―を率いるジネディーヌ・ジダンには、4つの《しかし》がつきまとう

ケガ人続出、デュポンは批判にさらされた

 昨季終盤戦はひとつのヒントになる。

「リーガを制するのはこの新しい状況に最もうまく適応できたチームになるだろう」

 トニ・クロースがこう言った通り、コロナ禍から再開後のラストスパートで、マドリーは無類の強さを発揮した。最終節にレガネスと引き分けるまで無傷の10連勝。バルサに勝ち点5の差をつけて逆転優勝を果たした。その原動力がフィジカルコンディションであり、プランを構築したのが、グレゴリー・デュポンだった。ロシアW杯でフランスの優勝に貢献したデュポンへ、'19年夏にジダン自らフィジカルコーチ就任を要請したのである。

 ところが彼が就任して程なく『マルカ』紙は、マドリーは47日間で9人が負傷したと指摘した。開幕から4試合で2引き分けとスタートダッシュに失敗。CLも初戦でパリ・サンジェルマンに完敗したうえケガ人が続出し、デュポンは批判にさらされた。

ジダンが完璧なシーズンを送ったことはない

 負傷者リストにはマルコ・アセンシオをはじめルカ・ヨビッチ、フェルラン・メンディ、クルトワらが名を連ねた。プレスはデュポンを選んだジダンも糾弾した。

 だが1年後、最終的にはデュポンに軍配があがった。ジダンのラストスパートへのアプローチも、リーガ制覇により正しかったと証明された。

《しかし》タイトルに関して、ジダンのマドリーが完璧なシーズンを送ったことは一度もない。リーガとCLの2冠を達成した'16- '17シーズンですら、国王杯では準々決勝でセルタに敗れた。皮肉にも敗戦による冬の日程の軽減が本格的なミニキャンプを可能にし、春のパフォーマンス向上に結びついた。ジダンが今季の目標を全タイトル制覇に定めるならば、これまで以上に綿密なフィジカルの準備が必要になる。

【次ページ】 ジダンは考えられないほど大きな権限を

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#ジネディーヌ・ジダン
#レアル・マドリー

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